日本における最初の本格的な高速自動車道路として, 名神高速道路の西宮~一宮間が開通して1年あまりの日時が経過した。この問におけるこの道路の利用状況は予想されていたよりはるかに悪く, とくに貨物自動車の利用率が低いことと, 遠距離間を利用する車が少ないことが注目されている。その原因を究明するために名神高速道路の沿線10km以内にある従業員100人以上の事業所約800について, 入荷品と出荷品の輸送の実状を調査した。その結果次のようなことが明らかとなつた。
a 通行料金が高いため多くの貨物はその負担にたえられない。とくに遠距離区間の利用の場合にこのことが著しい。
b 多くの事業所では高速道路を利用することによつて節約された時間を有効に活用するような体制がととのつていない。
c この道路の東半分の栗東~一宮間は交通量がとくに少ないが, これは国道1号線と8号線が高速道路に並行していて, 高速道路の利用効果が少ないためである。
d トラックが最もよく利用しているのは京都南~栗東間で, この区間は京都市内の交通混雑を避けるためのバイパスとして利用されている。
e 現在名神高速道路を利用するトラックは少ないが, それらは緊急輸送の必要があるものを主とし, 破損しやすい荷物や危険物などを積んだものを混じえている。
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