わが国都市ガス事業の原料事情について, 最近の傾向と将来の見透しについ述べているが, 1948年に都市ガス製造量の98%を占めていた石炭ガスも1958年には72.3%と, その比率が下り, 発生炉ガス, 油ガス, 水性ガス, 天然ガス, LPGなどの使用量も漸増し, 石炭ガス以外の使用量は今後もますます増えるものと予想され, そのため原料事情も次第に変貌して行くものと考えられる。とくに, これまでの大宗であつた石炭は, 副生コークスの先行不安のため余り伸びるとは期待できず, その消費量は鉄鋼業, 都市ガス事業両者の関連から決まるであろう。また, 石油は油ガス製造原料として, 天然ガスも石炭ガス混入用か変性用原料として (特に産地附近で) その消費は増加しよう。LPG利用は現在ガス事業における原料として最も注目され, その使用も増加し, とくに液化メタンのタンカー輸送も近く実現し, 液化ガスは都市ガス原料として最も有望なものになろう。その他源料の面で, 鉄鋼業の余剰ガス利用, 低品位炭ガス化法などももちろん国内資源活用の立場からさらに検討すべき問題である。
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