本研究の結果輕合金用特殊錐の形状並びに穿孔條件に就て明かになつた點を塚括すると次の如くなる.
1.穿孔の時間的能率を増加せしめるには, γ=40°~50°.θ=100°~140°の形状が良い.切削速度50m/min迄は急激に穿孔時間を短縮じ得るが以後は大差ない.特に軟質材にては切削速度を大にすべきである.
2.錐徑, 送りと推力との間には=
Pv=
Kv.
d・
Smの關係がある.
Kv・
m捩れ角γ=50°より減少するに從つて (50-γ) のこ二乗に比例して増大し,
Kvは錐角θ=100°より増大するに從つて (80/180-θ)
nに比例して増大する.
nは振れ角γ=50°より減少するに從つて (γ-50) の二乗に比例して増大する.從つて推力の點からはθ=40°~50°, θ=100°~140°の形状が良い.穿孔に際しては送りを大にして作'業した方が有利である。
3.切削速度25~50m/minは屑の悪影響があるため推力が増大する.從つて切削速度25~50m/minは避けるべきである.特に錐徑の小なる場合錐角が小なる場合は推力の増大が大きくなる.
4.捩れ角, 錐角が共に小なる場合は孔の深さ大になる程削屑の排出不良になり推力の増加を來す.この爲にγ=40°以上, θ=130°以上の形状が望ましい。斯る形状の特殊錐では孔の深さが錐徑の4~5倍以下ならば凡て同一の穿孔條件で作業して良い.これ以上の深さでは送りを小にすべきである.
5.注油の数果は捩れ角, 錐角が共に小なる場合, 穿孔材が軟質の場合には数果が大きい切削油としては粘度大で摩擦係数の少い脂肪油が良い.併し一般の輕合金では注油の必要なく特にγ=40°以上, θ=130°以上で並程度の孔の深さの穿孔の場台は全く必要を認めない.
6.輕合金用錐は切匁の磨滅に依つて切れなくなつて壽命が來るのでは殆んどない.ある程度切味が不良になると破斷されて壽命が突然なぐなるのである.錐の壽命の點からはγ=40°~50°, θ=120°~140つの形状が良い.而して捩れ角に依つて最大壽命を持つ錐角ぼθ=125+0.04 (γ-30)
2の式で示される.細徑錐に於てはθ=160°以上は使用上不適當である.
7.孔の内面粗さ及び寸法精度の點からはγ=35°~45°, θ=120°~140°の形状が良い.涙れ角に依つて最良の孔の仕精度を持つ錐角は壽命試験の結果と同傾向に移動する.
8.送りを増大する從ひ内面の粗さは始め緩慢に後略々比例的に急増する。特に7.で述べた形状以外のもの程増大が急である.輕合金でほ増加が緩慢である故逸りを大にして作業しても面の粗さには左程影響しない。き
9.返りに封しては材料に依つて最良の錐形状が決る.而してその生成型は3種に分れ押出し型, 押幽し型十打抜型及び打抜型となる.
10.輕合金の軟質材及び硬質材に於ては打抜型を生成する如毒錐の形状が返りの難からは望ましい.斯急形状はγ=45°~60°, θ=120°~140°以上の範圍となる.捩れ角に依つて打抜型を生成.する錐角はθ (deg) =160-0.05 (γ-30)
2の式で示される.
11.輕合金の中硬材に於ては押出し型十打抜型を生成する如き錐の形状とすべきである.捩れ角に依つてこの型を生成する錐角はθ (deg) 議100+2 (γ-30) の式で示される.振れ角は30°~50°が良い.
12.返りは逸りが増す程増大する.併し送りを如何に少くしても或る程度の返りは避け得ぬ.特に不適當な形状に於ては, 送りを如何様に調.節しても逸りは大きい.從つて返りを小にするには先づ錐の形状を上述の如くしてから切削速.度を大にし逸りを小にすべきである
13.以上の結果中1, 4, 6, 7, 8, 10, 11, 12の結果は低炭素鋼及び被切削性が輕合金に類せる穿孔材に封しても略々適用し得る.
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