カップ形砥石により円筒研削を行なう場合の概要を述べ,切削軌跡の交差角,砥粒切込み深さ,切りくず長さなどを幾何学的にみちびき,これに関する2,3の実験を行なった。それらをまとめるとつぎの通りである。
(1) 仕上面の砥粒切削軌跡の交差角は,中心変位角αによる影響が大で,中心変位量が砥石内半径を越えない範囲内では αが増加すると交差角が減少する。さらに交差角は砥石周速度が増加すると 180° -2α°に近づき,被加工物周速度が増加して送り速度が減少すると大となる。 また,直径が小で幅の広い砥石を使用し,中心変位角を増加するほど,交差角の範囲は広くなり多方向切削が行なわれる。
(2) 本加工法によれば,平形砥石による場合よりも切りくず長さが長く,砥粒切込み深さは小さくなる。また,切りくず長さは中心変位角を増加すると長くなる。
(3) 本加工法は砥石の2箇所で互いに向きの異なる研削を同時に行ない,研削条件を変えると1個の砥石によって種々な角度の交差切削や多方向切削および砥石接触幅の異なる研削を容易に行なうことができる。
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