ビトリプァイド研削砥石の破面をSEMによって観察した結果から,次のようなことが知られた.
(1)高倍率で破面の局部的な模様を詳細に観察すれば,破壊過程の推論に役立つ情報を得ることが可能である.
(2)砥粒の破面にはしばしば各種のへき開面が現われ,砥粒の破壊特性はその結晶的な性質に影響される.
(3)結合剤の破面は貝殻状破面が多いが,き裂の伝ぱ状態によって各種の模様が現われる.
(4)研削砥石の破壊は結合剤部分だけに起こるものではなくて砥粒からの破壊が多く,特に高強度の砥石では結合剤部分が強いためにその傾向が著しい.したがって砥石の破壊特性は砥粒の破壊特性によって影響される.砥石破面における砥粒および結合剤の破面の面積率は,砥粒率,結合剤率の1/2に近い.
(5)砥石破面の特徴は多数の独立した砥粒および結合剤の破面によって構成されていることであるが,結合剤量の多い砥石,組織の密な砥石,粒径の小さい砥石では砥粒と結合剤を貫通する破面が多くなる.
(6)気孔部分やボンドブリッジの縦断面ではき裂伝ぱの緩和現象が見られる.
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