以上を要約すると次のようになる.
(1)人間は視覚,触覚とも
Rrmsまたは
Rmaxとともにピッチ等によって表面粗さの程度を判定しており,これらの影響の度合により個人差があり被験者をP type,R typeに区分するとP typeの人が多い.特に被験者のグループ別では表面粗さに関係が深いグループほどP typeの人が多い.また官能の種別では触覚より視覚,先端形状別では尖より丸の方がピッチの影響を強く受けている.
(2)実験IIに用いた試料の範囲では一対比較における人間の判断には危険率5%で一意性があり識別能力がある.
(3)一対比較におけるピッチ差の影響度合として,実験IIの場合の1μm
Rmax差に相当する官能ピッチを求めることができた.
(4)判定にピッチ差の影響の入らない2試料間にピッチ差のない試料の組合せにおける正解率は粗さ比の対数に比例する.
なお,別の解析法として測定者個人の情報処理過程の解析,多次元尺度構成法による解析などが発表されている.測定精度を高めるためには訓練効果,適性などのほか他の加工法における加工面との関連など究明しなければならないことは多い.
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