作図原理が視覚と異なる斜軸測投影図の描画では適切な奥行きを設定する事が重要だが, 誤解を誘発させる一般的な設定限界は明確とは言えない.本研究では, 斜軸投影図が直軸測投影図から視覚的にゆがんで作図されている事を鑑み, 読図する上で適切または容認し得る奥行き方向と縮率について認識実験に基づき立方体に関して考察した.視覚認識実験では, 描画方向のパラメータである基線角θおよびφに関して規則的に行列配置した一覧図を用いたものと, 不規則なものの二種類を用いた.実験の結果, ゆがみと強く関連する辺長
g'<28%が設定限界であり, それを満たした上で三面をできるだけ平等に描画できる奥行きが適切であるとの結論を得た.この奥行きを作画できる基線角は, 《θ=60゜φ=30゜》から《θ=70゜φ=45゜》近傍の範囲に含まれる.更に認識実験からは, 上から見下ろした図が直軸測投影図同様に敬遠される傾向にあり, 不規則配置実験結果に被験者の個性や嗜好が現れた可能性が認められた.
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