図学研究
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55 巻, 1 号
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研究論文
  • ─グリッド配置と定規セットのデザイン─
    間瀬 実郎
    2021 年 55 巻 1 号 p. 3-15
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は日本の典型的な住宅の2点透視図を手描きで完成させられる透視図作成キットのための,グリッドの配置方法と定規セットのデザインを提案し,建築透視図初心者の学生に複雑な建物の透視図を完成させ,成功体験を与えることを目的としている.著者がすでに提案した基準建物の透視図の構図を基にして,A2サイズの用紙の中に平面透視図グリッドと立面透視図グリッドを配置する.作図作業が煩雑になることを避けるため,これら2つのグリッドは,基準建物の透視図と重ならないように配置した.またグリッド配置は,基準建物よりもやや大きい住宅についての作図も可能となっている.さらに本キットのための特別な定規セット(専用定規,レールバー,消点ストッパ)をデザインした.この定規セットは,2点透視図のすべての垂直線,消失線を描くことができ,かつ個数が最小限になるように考案した.それぞれの作図パターンを考察した結果,グリッドの配置は目標の機能を有していることを確認した.また使用者に対するアンケート調査により,定規セットも目標の機能を有していることが明確になった.本キットを使った結果,ほぼ全員の学生が複雑な透視図を完成させられるようになり,初心者や絵が苦手な学生全員が達成感を得ることができた.
  • ─木取りの形態学と芸術の実相─
    福江 良純
    2021 年 55 巻 1 号 p. 16-25
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
     彫刻家石井鶴三の提唱する「基本形」は,芸術学および造形論上に定着が望まれる有用な構造概念ある.それは立面図など形状計測の手法に拠らず,モデルに感受したものを直接ソリッドに適用して得られる構造体である.ここには,彫刻を視知覚的なサーフェイスから解放し,所与のソリッドを近代オブジェとして現す上での方法論が確立されている.ここからは,知覚される形状と非知覚的に感じられるものが交錯して成る芸術の実相が紐解かれ,近代芸術に敷衍すべき原理 が導出される.
  • ─視認性と理解度の調査と実証実験─
    井堰 絵里佳, 伏見 清香, 籔本 美孝, 池本 誠也, 真鍋 真, 高田 浩二
    2021 年 55 巻 1 号 p. 26-36
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
     参加型連携ミュージアム支援システムは二ヶ国語の展示解説を提供しており,ナビゲーションは主に文字が使用されている.より操作しやすくなるように,ナビゲーション用ピクトグラムを使用する.第1の目的として,ピクトグラムの「図」の対象物を明らかにした.第2の目的として,スマートフォン上におけるピクトグラムの視認性と理解度が高くなる「線の太さ」を明らかにした.第3の目的として,実証実験を行い,被験者の84.8%がピクトグラムを見やすいと回答し,その有効性が実証された.第4の目的として,ピクトグラムと文字を併記し,どちらが分かりやすいかどうか検証し,ピクトグラムが概ね支持されたことが明らかになった.さらに追加実験を行い,システムを継続して使用することで,ピクトグラムやシステムの評価が向上し,操作時間の短縮効果が期待された.
  • 種田 元晴
    2021 年 55 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
     建築家・坂本鹿名夫は,1950年代の後半に日本全国に数多くの円形建築を設計したことで知られている.
     本稿では,坂本の円形建築に関する既往の研究を整理するとともに,坂本の著作『円形建築』巻末に掲載された代表的な建築作品の建築概要一覧から概算直径を算出し,これと用途,設計完了年,階数などとを比較することで,坂本が大成しようとした円形建築の型を見出すことを試みた.
     その結果,実験段階であった当初は直径25mが主流,最盛期には直径26-27m,設計棟数の減少する熟練期には直径27-28mがそれぞれ主流であったことが明らかとなった.
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