CG画像と実写画像をひとつの画像に合成すると,両画像の階調特性の違いから,領域間に視覚的な不整合を生じる.そのため,一般にCG制作の現場では実写の撮影時に,18パーセントグレーカード等のリファレンスを撮影し,その画素値を基準にCG画像の輝度を調整する.しかしこの手法は,両画像が持つビット深度の限られた階調でしか画素値の一致が保証されないため,合成画像から視覚的な不整合を充分に取り除くことはできない.
本研究では,露光量の異なる複数の実写画像から復元したカメラ応答関数をCG画像の階調変換に応用する手法を提案する.これにより,両画像はビット深度の全域で値が近似し,階調特性の差異に起因する視覚的な不整合を充分に取り除くことが可能となる.
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