近年, 学生が描く図の中に, 誤った図法によって立体的に成立しない図を描く例が増えている.本研究では, 工業高校の学生を対象に, 図法に対する理解の状況と課題を明らかにすることを目的とする.また, 抽出した課題を解消することを目的に学習を行い, 図形描画の変化を調べる.
調査では設計課題の図面から3種類の誤りを抽出した.次に簡単な立体を描くテストを行い, 誤りを調査した.その結果, 物体の断面線がつながらない誤り, 物体の前後位置の誤りの2種類が見られた.これらの解消を目的として, 立体が回転する動画を作成し学習を行った後のテストでは, 前後位置の誤りは減少した.しかし物体の断面線が繋がらない誤りは増加した.動画のみによる学習では, 図形描画の誤り全てを網羅はできなかったものの, 誤りの一部は減少したことから, 学習法を考える上で重要な示唆を含むと思われる.
抄録全体を表示