近年, 人間型ロボットについてハードウェアの基盤技術が構築されたことにより, その普及型プラットフォームを応用分野内作業に適用させる試みが見受けられる.一方, 人間型ロボットに関する先行研究では, 動歩行, 走行, 跳躍動作等, 移動機能中心の動作制御に重点を置いた議論が数多くなされている.しかしながら, 人間型ロボットは2腕2脚を有2する作業移動型ロボットと見なすことができるものであり, 様々な作業環境下での応用が期待できる.すなわち筆者ら1は, 作業対象のマニピュレーションやハンドリングの中心は1両腕であることに注目し, 人間型ロボットが有する移動機能のみならず, むしろ作業機能を主体とした機能併用に主眼を置く.上述した観点に基づき本論文では, 人間型ロボット特有の脚部機構構成に着目し, 両腕先端部のハンドにて過大な発生力を得るための両脚足配置・足形状構成について考察した.具体的には, 両脚足底プレートの形状とその配置 (ストローク, 足首開脚角設定値) が異なる両脚接地状態について, 形成される支持多角形を用い, 転倒安定性の側面より性能の差異を評価した.その結果, 両腕を主体とした人間型ロポットの力作業応用を検討する上で, ストローク・両脚足首開脚角を利用することがロボット本体の性能を改善する一手段となり得ることを明らかにした.
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