図学研究
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41 巻, Supplement2 号
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  • 第1報大学と企業のコラボレーション
    平野 重雄, 荒木 勉, 関口 相三, 奥坂 一也, 喜瀬 晋
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 1-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    わが国では, 先人の知恵と技術開発の積み重ねによるノウハウが貴重な財産として蓄積され, これによって品質の高い高度な工業製品を世界に提供してきた。しかし, 最近では工業製品を構成する部品は多国籍化しつつあり, 一国の技術文化だけでは工業は成り立たなくなってきた.グローバル化する状況下では, 設計思想や設計情報を国際的に共有することが必要となり, 世界共通の標準を理解し導入しなければならなくなっている.本研究は大学, 企業, 技術者協会の関係者が密接な連携をとり, 機械系の設計製図教育向上のために, 蓄積されたノウハウを出し合い, 国際化に対応できる設計法, 設計製図, 三次元CAD技術認定の技術基準について考究し, 新たな提案事項をまとめることにある.
  • 坂本 勇
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 5-10
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    設計され作られたものが, 所期の目的を果たしてゆくためには, 環境全体が, その設計物の「外部構造」である.即ち, 「経験を越えた構成因」とか「見えていない体系」の支えによっている.従って, 構成要素間の写像関係は, 設計上では (1: 1) であるが, 実際には (1: 多) という「現実にない理性」のもとにある.
    日本の思想の中には, 検討し直せば, 現代にも通用し, そればかりか, 従来の西洋を中心とした哲学では思いもかけない新しい発想が生まれる可能性があるのではないか.このような考え方は, これからの「ものづくり」に大切なものである.
  • 荒木 勉
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 11-14
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本学における機械設計製図教育の現場に三次元CADやインクジェット式の三次元モデル造形機が導入され、新たな設計・製図教育の取り組みが始まった。機械製図の学習の初期において学生自身に自ら描く図面と実際の形状がどのように結びつくか検討できるよう作図前に作図モデルの図面より三次元モデルをペーパーモデルとして紙で作らせている。モデルを手に取り図面と形状を比較し図面の描き方を確認、さらには設計のための形状を考えるヒントともなる三次元モデルである。この三次元モデルがCAD/CAM室のモデル造形機を用いて容易に製作できるようになり製図における基礎的指導の幅が広がりつっある。また、機構モデルに関しても製作した三次元モデルを介して体感的に正確にコミュニケーションを図ることができるようになり、聴覚障害を持っ学生への有効な教育手段として、分かりやすく学生自らが考え、その結果を反映させることができるようになった。
  • 喜瀬 晋, 関口 相三, 奥坂 一也, 平野 重雄
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 15-18
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    数年前まで, 機械設計用三次元CADは機械設計において本当に役立っのかという疑問があり, なかなか企業に浸透しなかった.機械設計は部品の再利用が多く, かつ膨大な紙による図面のインプット作業が出るため, 一時的にペースダウンすることが利活用を阻んでいた理由の一つである.
    しかし, 日本の製造業の国際競争力の強化と相まってますます競争の激化が進み, そのため海外製造拠点化, 製品の短期ライフサイクル化, 多種少量生産化が進み, 日本での役割は企画, デザイン, 設計が主となり, 三次元CADを必然的に使用せざるを得なくなったのである.
    本報では, 機械設計を行うための機械全般の基礎的知識内容の検討を行い, 機械系新入社員の三次元CADの研修教育内容を示し, さらに設計力の向上を図る教育実例について述べる.
  • 宮原 和香, 洞谷 亜里佐, 辻合 秀一, 丹羽 洋介
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 19-24
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    壁画をはじめとするタイの絵画は, タイ独自の材料と表現により発展してきた.タイ画のスタイルや表現技法は, 地域や作家により多少異なってはいたが, 共通したパターンがあることが判明した.このことから, 仏教絵画として伝播したことが推考される.本研究では, タイの古典絵画についての報告を行う.また, タイ画の描き方を調査し, 同じ表現方法で古典絵画の再現を試みる.
  • 洞谷 亜里佐, 辻合 秀一
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 25-28
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    タイ美術は, 仏教とヒンドウー教が発展したインド文明と深いつながりをもちながら展開してきた.その中でも仏教絵画は伝統的な様式があり, またそれぞれの時代の気分によって多くの流派が生まれ, その伝承によってタイ画は受け継がれてきている.本研究では特に独自のタイ技法が生まれた後期アユタヤ期からバンコク期における, 寺院壁画に描かれたタイ画の表現方法と技術について, 作品を紹介しながら考察していく.
  • 丹羽 洋介, 辻合 秀一
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 29-30
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    表題の問題については, 王宮寺院 (ワット・プラケオ) の壁画技法とその保存状態の調査を開始した当初から, そこに描かれている建物の図法表現上の複雑さ, あるいは, 奇妙さに対しては少なからず関心を持っていた.当初は, 不完全な透視図法による作例として受けとめていたが, それだけでは説明できない点が多いので, 何らかの別の理由に由来して, 意図的に透視図法のセオリーを無視, あるいは改変しているのではないかと思うようになった.もし, そうだとすれば, そのことが壁画のテーマであるラーマ・キエンというユニークな物語の内容, そして, 視覚伝達の方法とどのように関わっているかを考察した.
  • 辻合 秀一, 洞谷 亜里佐
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 31-32
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    タイ王宮ワット・プラケオ回廊のタイ壁画は, 屋外にあり太陽光線, 湿度, 雨など多くの要素によって痛むスピードが速い, 実際, ワット・プラケオの壁画は, 常に修復を行っている.本研究では, そのタイ壁画の状態を把握するために, 画像の撮影, 色管理の有効性, フラッシュの有効性の確認を行った.また, 壁面状態のデータベース化を行うために現地調査を行い検討を行った.
  • 三谷 純
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 33-38
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    平坦折紙には面の重なり順に閉ループを持つものが存在する.CGで一般的に用いられる多面体モデル表現では, この折りたたみ後の形状を正しく画面に表示することは困難である.本稿では, この問題を解決するための新しいレンダリング手法を提案する.提案手法では面IDバッファを用い, レンダリング後の画素単位で最も上面に位置する面の管理を行う.この方法で得た面IDバッファに基づき, 線画, イラスト調表示および陰影表現を行う手法を提案する.
  • 劇場公開作品に見るCGアニメーション制作手法の動向
    今間 俊博
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 39-42
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    日本のアニメーションには, 米国アニメーションには無い「止め絵の美」が存在する.しかしMocapを利用したCGライブアニメーション制作は, アニメーション制作効率は高いが美しい止め絵を作るのが難しいという問題を内在している.また3DCGで制作したキャラクタには, 不気味の谷の問題があり, リアリティを追求し難いという問題がある.「FF THE MOVIE」「APPLE SEED」「VEXILLE」といった, 日本において制作された劇場公開アニメーション作品を通じて, 米国主導のCG技術開発とは違った, 映像表現技術の動向について過去の取り組みのまとめと今後の考察を行なった.
  • 佐藤 尚, 阿部 理美
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 43-44
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年, CGやCADなどの分野において, 形状モデル表面の凹凸情報を可能な限り保持しながら, 形状モデルの形状を変形する手法に関する研究が広く行われており, キャラクタアニメーションなどへの応用も期待されている.これらの手法はラプラシアンにより表面の凹凸情報を表現することに実現されているものが多く, 次のような欠点, 1.頂点数が増えた場合に計算時間がかかるようになる, 2.ポーズの設定におけるスキニングパラメートの設定が煩雑, である.これらの欠点を解決するために, 金森らはスケルトンのグラフ構造を用いる手法を手案している.この手法では, 対応するノードを選択するために, 形状モデルのボクセルへの分解を用いて, ノードのクラスタリングに基づく対応付けを行っている.本研究では, 単純なユークリッド距離に基づくものとは異なった手法の提案を行う.
  • 山口 博史, 辻合 秀一
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 45-46
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では, 雪の結晶および雪景観をPov-Rayを用いて3次元のモデルを構築する.Pov-Rayは, ソリッドモデルの表現や透明な物を表示することができ, 光源の位置や光の強さを調節することで, より現実に近い水や氷を簡単に表現することができる.本研究では, 水の結晶である雪を1つの小さな結晶からこれを雪の塊にして大きくすると雪の見え方がどう変化するかをとらえる.
  • 西原 小百合, 吉田 晴行, 知花 弘吉, 西原 一嘉
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 47-52
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    空間認識力向上に図学が有用であるとされている。その判定方法として様々な方法が試みられてきた。本研究では、空間認識力判定問題としてMCT問題を解く際には脳のどの部位が関係しているかという観点から、島津製作所製の「機能的近赤外分光分析法 (fNIRS) 」を用いて仮想切断面実形視テストにおける脳機能の解析を行った結果について報告する。
  • 遠藤 潤一, 茂登山 清文
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 53-54
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年のコンピュータの価格下落や新しいデジタル・デバイスの登場によって, 情報を表示する情報端末の導入が増加している.これらは街の中だけではなく, 大学において学生への情報提供の手段として導入する例も増えている.しかし, それらの情報端末は, ユーザの見やすさや分かりやすさが十分に考慮されているとは言えない.本研究では大学内で学生が利用する情報端末を例に, 情報端末の設置を含めたインターフェイス・デザインを提案する.
  • 鈴木 広隆
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 55-58
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    大阪市立大学ではこれまで、全学基礎教育科目「図形科学II」の中で、フリーウェアCGアプリケーションPOV-Rayを用いてCGの基礎を教えてきた。この科目では、「階段」、「CSGを用いた照明器具」、「最終課題」の3つを必須提出課題としてきた。2003年度より、端末設備の充実した図形科学演習室が利用可能となったため、アニメーションの演習を取り入れたものの、演習時間が限られるため、提出は任意となっていた。2006年度より、Jabeeに対応するために授業時間が1コマ増加しため、このコマをアニメーションの演習時間として利用することとし、さらに「幾何学アート」と題したPOV-Rayをよりパラメトリックに活用する技術を紹介して学生を刺激することで、アニメーションを必須の第4の課題とすることに成功した。本稿では、カリキュラムの内容、提出されたアニメーション課題の傾向、授業評価の結果について報告を行う。
  • ―2005年度と2006年度における実践結果の比較と考察―
    黒瀬 陽代, 佐藤 紀子
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 59-62
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    メディア基礎演習「デザインの基礎」では, デザイン未経験者である学生を中心に授業を行っており, 論理的な視覚表現ができるよう, カリキュラムや授業資料を作成し, 授業を行ってきた.同時に, 受講した学生を対象にアンケート調査を行い, その結果を元に授業内容や資料を見直し, 必要に応じて改善を重ねている.その結果, 学生の理解度は向上し, デザインに対する苦手意識も減少している.
    本研究では, 2005年度から2006年度の授業改善内容とアンケート調査の結果を比較し, 考察する.
  • 倉田 和夫, 島森 功
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 63-68
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    筆者らは、2006年度の本部例会でフリーのCGソフトPOV-Rayを使った初心者のためのプログラミング教育事例の発表を行った。今回は、その研究の第2弾としてMITで開発されたJavaべースの言語開発環境であるProcessingによるプログラミング初心者向けのプログラミング教材ついて発表する。このProcessingはデザイン/アートの分野での作品制作に特化されたプログラミング環境で、作品制作を楽しみながらプログラミングに必要な論理的な思考を教育する授業教材の使えるのではないかと考え授業に取り入れているその試みを発表する。
  • 萬行 扶美
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 69-72
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    オフィスは単なる業務遂行の空間でなく、より戦略的な視点から捉えられ、組織のビジョン実現、企業価値向上、社員へのベネフィット、ブランディングとしての役割を期待されている。それに伴いオフィスのあり方は多様化し、様々な試みがなされている。限られたコストとスケジュールのなかで、クライアントの要望を最大限に実現するためには、設計者はクライアントの問題意識を共有し、意思決定を的確に支援するようなコミュニケーションのあり方が必要となる。
    本論ではオフィスのビジョンやコンセプトを具現化するプログラミングフェーズにおいて、クライアントとのコミュニケーションの視点から、どのような提案資料が有効なのか実際のプロジェクトの事例をもとに考察する。
  • 鈴木 広隆
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 73-76
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    昼光照明は、エネルギー削減や健康性などの観点から、住宅にも積極的に導入が進められるべきものである。頂側窓による採光は、建て詰まった地区における採光経路の問題を解決可能であるが、視点に近い高さにハイライトが発生するため、グレアとなったり、相対的に他の部分が暗くなってしまうなどの問題がある。本研究は、頂側窓により採光が十分に確保された住宅の内部に、カテナリー曲線に沿ってスクリーンとなる布を配置し、これにより昼光の変動による趣きを確保しつつ、住宅内部の各部分に一定量の昼光を導くことを試みるものである。
  • 渡辺 崇, 西村 武彦
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 77-80
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    人の行動を支援するためのユビキタス環境の構築や, 多発化の傾向にある日常犯罪の防止のための一助として, ビジョンベースのモニタリング装置の導入が行われている.本研究では, このような装置から, 人の行動と, 人の行動に伴う物体の移動を認識するためのシステムを提案する.人の行動は, 観測空間内の一定の場所で小刻みに動く停留行動と, 観測空間を通り過ぎる通過行動の, 2つのパターンに分類する.その上で, 人の動きの開始, 終了を特定するために大域的な領域を見る大域カメラと, 人が動かした物体を特定するために局所領域を拡大撮影する局所カメラを設ける.大域カメラで検出された, 人の存在領域, 行動パターンを局所カメラに伝達し, 局所カメラは, 人の行動の前後でもたらされる物体の移動, 出現, 消滅を認識する.モデル実験, および, 現実の場の実地実験を通して, 提案システムの有効性を確認した.
  • 宮腰 直幸
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 81-82
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    大学の設計・製図科目で描かれる図面の中に, 立体の描画に関する誤りが多く見られるようになってきた.すでに図面を描いた経験のある工業高校出身の学生の描く図面にも誤りが多く見られることから, 工業高校の学生の立体に対する認識能力を調査した.工業高校の学生が描く図面には1) 外形線が交差する誤り, 2) 外形, 断面が閉じた図形となっていない誤り, 3) 前後の位置関係のおかしい誤り, が見られた.単純な立体を描画するテストにおいても2) および3) の誤りは多く見られ, これらを理解させるための教育方法が必要だと思われる.
  • 加藤 道夫
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 83-88
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    モデュロールの初期の導出作図には, それまで用いられてきたトラセ・レギュラトウールの内, 対角線を手段とするトラセ・ディアゴナルが適用されていた.本研究はトラセ・ディアゴナルの性質を明らかにすることで, 初期の導出作図の誤りが軽視された理由を考察するものである.その結果, 次の点が明らかになった. 1) 初期の導出作図は近似解であり, その誤差を再検証した結果, ル.コルビュジエの著書で指摘されるように0.6パーセントであった. 2) トラセ・ディアゴナルの適用例を検証し, それが事後的な調整であり, 予め定められた一定の比に依存しないことがわかった. 3) 初期の導出作図に見られるトラセ・ディアゴナルも事後的に確認された近似的関係を作図に導入したものである. 4) 以上から, 当初の導出作図の誤差は, それ以前のトラセ・ディアゴナルにおける誤差と同様, ル・コルビュジエにとって大きな問題ではなかったと考えられる.
  • 石川 愛, 鈴木 広隆
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 89-90
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年、犯罪の多発によって人々の治安に対する不安感が年々増加しており、特に不特定の標的を対象とする街頭犯罪は、一般市民誰もが遭遇する可能性のある身近な犯罪として問題視されている。そこで本研究では、街頭犯罪の1つであるひったくりを対象として、大阪市内で発生したひったくり事件の発生状況の詳細を調査することで、ひったくりの発生を誘発すると考えられる都市空間特性について考察した。
  • 川崎 寧史, 土田 義郎, 下川 雄一
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 91-100
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    金沢都心部および新都心部における眺望景観を対象として、眺望全体とその部分景に対する印象評価を行った。同時に、全体景および部分景に対して画像解析を行い、ゆらぎやテクスチャ特徴量などの画像特徴量を計測した。印象評価についてはSD法を用いた測定を行い、伝統感・親近感・賑わい感・単調感の4つの共通因子を抽出した。その結果、これら4つの因子に対しては、部分景よりも全体景の印象が強く反応している傾向が確認できた。また、画像特徴量に関しては、金沢都心部に対する「伝統感」の印象評価とゆらぎ・テクスチャ特徴量の間に高い相関関係があることが確認できた。以上の研究結果に対して、金沢都心部の景観要素や景観構成との関連から考察を加えた。
  • 山島 一浩
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 101-104
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Web上で利用者がインタラクティブに空間イメージ編集を支援するシステムについて述べる.まず空間イメージを記述する書式として, 1996年に開発された3DMLを取り上げ, その記述構造を再考した.次に編集対象と3DML書式の要素との対応付けを行い, 編集支援システムに組み込んだ.編集支援システムは, Tomcat (Webサーバ) 上で稼働する.空間イメージの書式は, 利用者の編集過程で動的に生成される.開発は, Web2.0を指向し, JSP (Java Server Pages) と, Ajax技術により, サーバ側とクライアント側の処理を分担するようにした.編集対象の空間イメージは, 室内とした.壁, 床, 天井の配置とそのテクスチャ, 照明を編集対象とした.本稿では, 和室の制作過程を例示し, 利用者に文化的な知識背景を反映させた設計支援策の可能性について述べる.
  • 長島 忍, 芝 葵, 久保 英里子
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 105-106
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    文系大学で3次元を理解し, 3次元に慣れ親しむ一般教育の情報処理授業の計画および教材開発について前に述べたので, 今回はその詳細と試行授業について報告する.従来から実施されていたマルチメディアテーマの情報処理の授業内容を改変し, 3次元の理解を主眼においた授業を実施した.Flashを用いると様々な教材が開発できるだけでなく, 学生がプログラミングに参加してより深い理解を得ることができた.
  • 佐久田 博司, コナー ジェローム・R, 相澤 慶多, 矢吹 太朗
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 107-110
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    静力学の初等的なモデルは、従来の機械設計や建築土木の構造設計に必要なだけでなく、ロボテックスやマイクロメカニクスなどの、現代的な応用分野においても本質的に重要な設計要素である。本研究は、静定はりの様々な条件における、せん断力、曲げモーメント、たわみ角、たわみを対話的な図で表示し、クイズ形式で理解の支援を行うシステムの開発と結果を説明する。
  • 大村 勝
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 111-112
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    最近種々の分野において、人間に危害を加える事故が多く発生しておりますが、技術者としての基本的な倫理の上に地球環境を悪くしない、インバースマニファチャリングの視点から設計しなければならない事について考察する。
  • ペルトネン 純子
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 113-115
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    東京美術学校で教授されていた鍛金技術が, 実際にどのような技術を伝えていたのかを知るために, 東京藝術大学美術館に保管されている作品の調査研究を行った.これにより, 模倣による技術の教育は, 手本となる作品とほぼ同形の作品を制作することによって修得した技術を展開させ, 新たな作品の制作を行わせてゆくことができる教育方法であることを見出すことができたと考えている.
  • 西原 一嘉, 西原 小百合, 安富 雅典, 新関 雅俊
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 117-122
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    最近の3次元CADには切削加工、フライス加工等の加工シミュレーションの機能や自動車の衝突実験のシミュレーションの機能、人間工学のシミュレーションの機能があり、ものづくりの分野で盛んに用いられている。
    3次元CADは単なる設計のツールではなくものづくりのツールになっている。いまや3次元CADで実際のものをつくる時代、3次元CADがものづくりの不可欠な時代になっている。本研究では3次元CADの代表であるCATIAを中心に、3次元CADによるものづくりの実際について調べた結果を報告するものである。
  • 大月 彩香, 大月 美佳
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 123-124
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    図法幾何学的解析手法は、コンパスと三角定規を使用したものに特化されてきた。ツールがコンピュータ上のアプリケーションへ移行するとともに、それが時代遅れになるのは当たり前といえる。しかし、人間は目に映る投影画像を介して三次元空間を理解せざる得ないという事実は、ツールが変わっても変わらない。図法幾何学的解析手法が時代遅れとなろうとも、図法幾何学的な発想自体が全く不要になるとは考え辛い。たとえば、3D-CGではうまく直接的に解決できない問題も多く存在する。そもそも図学教育の目的はコンパスと三角定規による解析手法を教えることではなく、図法幾何学的発想法を教えることではなかろうか。本報告では、ツールに捕らわれることのない, 図法幾何学的発想法とはそもそも何か、ということについて考える.
  • 安福 健祐, 阿部 浩和
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 125-130
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, インタラクティブな操作が可能な3DCGを図学教育に利用し, 図学初学者に図法幾何学の理解向上を促すことを目的としている.本稿では, その一手法として, 3次元物体の図形操作と, その投影面上の図形操作を, CGソフトウェアSketchUpの透視図上で交互に行い, 図法幾何学の課題の作図手順を提示する方法を提案する.その結果, 点・直線・平面の作図および2平面の交線, 平面に対する直線の相貫点を求める課題は, SketchUpの推定機能を使うことで, 透視図べースによる作図が可能であることを示し, その提示方法が, 83%の受講生にとってわかりやすいことを明らかにした.
  • 安藤 直見
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 131-134
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    法政大学デザイン工学部建築学科 (以下, 本学科) における図学は, 図学の体系 (図法幾何学あるいは図形科学の体系) を学ぶ一般教育科目としてよりも, 建築図面の図法の基礎を学ぶ専門科目としての性格を強めている。その傾向に沿って, 本学科では, 切断図, 正投象図, 立体図, 透視図の図法にポイントを絞り, 幾何立体ではなく建築を題材にした教え方を試みるようになっている。従来の図学の体系を教える授業とは異なる性格をもちつつあるが, それでも, (1) 建築の平面図・断面図が立体の切断図であること, (2) 平面図・断面図・立面図が正投象図であること, (3) 立体図に軸測投象図, 斜投象図, 透視図などのさまざまな図法があること, などは従来の図学体系に基づくものである。すなわち, 建築を題材としても, 図の原理は教えられる。本稿では, 本学科の試みを報告する。
  • 鈴木 賢次郎
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 135-140
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    3D-CAD/CG時代における伝統的な図法幾何学の意義について, 主として教育上の観点から論ずる.伝統的な図法幾何学教育は依然として重要と考えられるが, 3D-CAD/CGの普及により, 図法幾何学がかつて有していた実用的性は低下しつつあり, 従来の解析技法に重点を置いた教育から, ものづくりの幾何学に重点を置いた教育へとの転換が必要である.本稿では, 具体的な授業例をあげて, これらについて説明する.
  • 鈴木 賢次郎
    2007 年 41 巻 Supplement2 号 p. 141-144
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    東京大学教養学部における図学教育においては3D-CAD/CGを導入した図学教育 (科目名: 図形科学II) を実施している.3D-CAD/CG導入の第一の目的は, 3D-CAD/CGの原理および操作法について学習することにおいているが, 単に操作法を学ぶだけでなく, 3D-CAD/CGを通して, 投影と立体の幾何学―ものづくりの幾何学―を学ぶことにしている.このような目的を達成するための一環として, 図形科学IIにおいては, 図法幾何学的手法―図の利用―を応用して3D-CADにより立体幾何問題を解く課題を導入している.本稿では, これらの課題および実施結果について述べる.
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