図学研究
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54 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
研究論文
  • ─微分幾何学による検討─
    有馬 修
    2020 年 54 巻 2 号 p. 3-
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
     この報告は,2つの空間曲線の間に可展面を生成し,1つの展開式で統一的に展開図を作成する方法を記した.
     線織面において接平面を持つことは,可展面であることと同値である.そこで,2つの空間曲線間に可展面になるように母線を決定出来れば,そのようにして生成された可展面を一般化された展開式を使って展開図を作成する.
     本法では,曲面の種類を論じることなく統一的に展開図を得ることが出来る.特に主張しておくべきことは,この展開式が可展面以外の曲面を描くことがあったとしても,2つの空間曲線間に生成された曲面は可展面であることが保証されているため,可展面以外の線織面を描く可能性が理論上ないことである.
     2つの空間曲線が可展面を生成できなければ,必然的に展開図は得られない.けれども,接平面が存在するかどうかは複雑な計算をしなくても感覚的にイメージできるため展開できるかどうかは容易に判断しうる.
  • 丸谷 和史, 大谷 智子
    2020 年 54 巻 2 号 p. 13-
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
     階段状の立体表面に投影された直柱群の影を斜めから観察したとき,著名な幾何学的錯視であるカフェウォール錯視様の網膜像が生じる.本研究では,カフェウォール錯視の強度変化をもたらすモルタルの幅と明るさを三次元状況に当てはめて考えたときに,どのような制約条件としてとらえられるかを検討した.結果,錯視が生じるためには観察距離の約2%程度の奥行き差がある面に影が落ちている状況が望ましいことが明らかになった.これらの結果は,大きな観察距離に対して,比較的奥行き差が少ない物体表面の形状推定を行うときに物体に落ちる影の情報が有効な手がかりとなることを示している.
教育資料
  • 河田 尚子, 竹之内 和樹
    2020 年 54 巻 2 号 p. 19-
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
     3Dモデリング演習での活用を目的とし,初学者の特徴を調べた.このために,自由課題の制作開始時に,モデルの完成予想図と3Dモデリング手順の計画を記入するレポートを課した.また,制作モデルを3Dプリンターで出力した後に,試行錯誤の有無とその理由,サイズ感と立体感,サイズのイメージ方法について尋ねるアンケート調査を行った.これらを対応させて分析し,初学者の3Dモデリングにおける難点と原因について考察した後,3Dモデリング演習の課題と改善の方策について考えた.
  • 福田 幸一, 大月 彩香, 竹之内 和樹
    2020 年 54 巻 2 号 p. 25-
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
     Mongeの「図法幾何学」において描かれている複面投影図は,時代をさかのぼればMongeより前にもグーテンベルグの印刷術による書籍などでも表現されていた.これらの分野は美術・建築・土木・造船・要塞などである.これらの図の中には,「図法幾何学」の問題解法に匹敵するものも見受けられる.
     海外においては,Mongeの業績などに関する研究が最近まで盛んに行われていて,学会や著書で報告されている.
     ここでは,図学および製図に関する図例を先行研究と共に紹介し,Mongeが「図法幾何学」を創造するまでの過程もたどることによって,Mongeが果たした役割を再認識することとしたい.
  • 高 三徳
    2020 年 54 巻 2 号 p. 33-
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
     最近,単に製品の機能面だけではなく,デザイン面,とくに人間と人工物とが向かい合ったとき,感覚的にも心理的にもリラックスできるような柔らかい感じが好まれる傾向性があり,滑らかな曲面で構成される工業製品が多くなってきている.リバースエンジニアリング手法を本学機械工学系学生向けの自由曲面CAD/CAM/CATの教育に活用するため,昨年,3Dスキャナーを購入した.それを用いて,著者が担当した3科目の中で,カーボディ模型の形状測定を行った.測定データはstl形式であり,小さい三角形の集合体で曲面を近似的に表現するので,カーボディの金型キャビ面のCNC精密加工に使えない.このため,3D-CADソフトウェアCATIA V 5を通してstlデータから自由曲面のCADモデルを作成した.その際,作業量,曲面の滑らかさ,モデルの精度等に問題が生じた.本稿では自由曲面のリバースエンジニアリングの教育内容,問題点とその解決方法について報告する.
  • 平野 重雄, 喜瀬 晋, 関口 相三, 奥坂 一也, 荒木 勉
    2020 年 54 巻 2 号 p. 39-
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
     機械製図が2019年5月20日に改正された.改正前の規格に関して多くの修正を施したにも拘わらず,用語の間違い・製図ルールの誤用・解説を熟読しないと真意が不明であるなどが見られる.新たに機械製図を学ぶ学生・技術者は,日本産業規格には間違いはないと信頼し白紙から勉学する.本報は,学び方の基礎的な項目を明確にすることを目的に考察し,改正規格の一部であるが,ひとつの教育方法を提示した.
図学ノート
  • 杉原 厚吉
    2020 年 54 巻 2 号 p. 47-
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル オープンアクセス
     三つの方向から見たとき異なる立体に見える錯視図形の設計法を示す.面と面が直角に接続されて作られる直角立体の垂直投影図には,3組の平行線群が含まれる.その図を水平に置き,一組の平行線が網膜上で垂直となる姿勢で斜めに見下ろすと,垂直方向へ圧縮された立体が知覚される.本当に垂直に立った旗などの小物を追加して重力方向を示すと,錯視は強化される.この立体の1例は,2018年ベスト錯覚コンテストで優勝を獲得している.
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