日本義肢装具学会誌
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15 巻, 3 号
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  • 前田 朗, 堀部 秀二
    1999 年 15 巻 3 号 p. 196-203
    発行日: 1999/07/01
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    関節は, 骨, 関節軟骨, 靱帯, 関節包, 滑膜, 支帯, 半月, 関節唇などで構成され, 運動の中心, テコの支点, 荷重負担, 衝撃緩和, 位置覚のセンサーとしての機能がある. 関節の運動は並進運動 (すべり) と回転運動 (ころがり) が組み合わさって行われる. 関節の物理的特性としては, 粘弾性特性や小さな摩擦力が特徴的である. 関節の安定性は骨形態, 靱帯, 半月, 関節唇, 関節周囲筋, 関節内の陰圧, 拮抗する関節周囲筋などによって保たれているが, なかでも靱帯の果たす役割は大きい. 靱帯は関節において骨と骨を連結する紐状あるいは帯状のコラーゲン線維組織であり, 関節の安定化, 関節運動の誘導, 過度の運動に対する制動, 関節の固有知覚のセンサーとしての機能がある.
  • 池田 和夫
    1999 年 15 巻 3 号 p. 204-212
    発行日: 1999/07/01
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    下肢は「移動」が主目的であるのに対し, 上肢はより高度な「動作」が期待される. 上肢の動作は複雑かつ精巧であり, これを完全に模倣した義肢・装具の開発は現在のところ不可能であろう. しかし, 上肢の機能解剖を理解することは, 理想に近づく1つの手段と思われる. 筆者は, 義手あるいは上肢装具の作製・使用を念頭におき, 健常者の上肢の筋・骨格系の機能解剖について述べた. 上肢を近位から, 肩関節, 肘関節, 手関節, 指関節, 母指と分け, おのおのの主動作筋について起始・停止, 支配神経, 筋力について記載した. あわせて, 疾患や外傷によって喪失する機能および生じる変形についても述べた.
  • 安藤 徳彦
    1999 年 15 巻 3 号 p. 213-218
    発行日: 1999/07/01
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    立脚相に股関節では大殿筋と大内転筋が伸展位を保持し, 中殿筋, 大殿筋上部, 大腿筋膜張筋が左右側方向の支持性を確保する. 膝関節は屈曲位で踵接地して床からの衝撃を吸収し, 体重を支える. この機能は大腿広筋が果たす. 踵接地期の足関節背屈筋群の強い収縮も衝撃吸収の意義が大きい. 全足底接地後にひらめ筋, 続いて腓腹筋の活動が足関節の底屈速度を制御する. 立脚相終期では大腿直筋が膝関節を伸展位に維持して股関節を屈曲させ, 下腿三頭筋が強く収縮して前足部を中心に下肢全体を前方に移行させる. 遊脚相に向けて股関節屈曲には腸腰筋, 長内転筋, 大腿直筋, 縫工筋, 薄筋が活動する. 大腿直筋は蹴り返し期に膝伸展位で股関節を屈曲させる. 縫工筋と薄筋は内・外転, 内・外旋中間位に保って股関節を屈曲させる. 遊脚相後半にハムストリングは股関節の屈曲と膝関節の伸展を制御するために活動する.
  • 江原 義弘
    1999 年 15 巻 3 号 p. 219-224
    発行日: 1999/07/01
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
  • 土居 敏明
    1999 年 15 巻 3 号 p. 225-231
    発行日: 1999/07/01
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    皮膚は人体の外表を覆う一つの臓器である. 皮膚は, 表皮, 真皮, 皮下脂肪の3層構造で, それらを貫く形として, 毛, 汗腺, 脂腺などの付属器が存在している. 表皮は断面でレンガを積み上げたような細胞の層状構造 (角化細胞層) と, それに介在する形で樹枝状の突起を有する細胞 (樹枝状細胞) で構成される. 角化細胞層は, 基底細胞層, 有棘細胞層, 顆粒細胞層, 角質細胞層の4層構造をとる. 真皮は, 細胞成分と結合織 (線維成分, 基質) から構成され, 乳頭層, 乳頭下層, 網状層の3層構造をとる. 皮膚付属器は毛, 爪, 皮脂腺, 汗腺からなる. 皮膚の血管は2階層のネットワーク構造をとる. 皮膚の特性と機能を構造と結び付けて解説する.
  • 吉村 理, 小林 隆司, 峯松 亮, 佐々木 久登, 前島 洋, 田中 幸子, 松尾 彰久, 金村 尚彦, 白濱 勲二, 上田 健人, 鴨田 ...
    1999 年 15 巻 3 号 p. 232-238
    発行日: 1999/07/01
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
  • 河村 顕治, 辛島 修二, 中 徹, 泉 唯史, 中嶋 正明, 藤野 英己, 徳弘 昭博, 谷本 義雄, 武田 正則
    1999 年 15 巻 3 号 p. 239-245
    発行日: 1999/07/01
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    Back-Up は本来健常者の座位時の腰痛緩和の目的で使用される装具であるが, その構造上障害児・者および高齢者の座位保持の目的での使用が可能である. 脳血管障害, パーキンソン病, 脊椎圧迫骨折, 脳性麻痺, 脊髄損傷の他, 高齢で寝たきりになったような症例で座位が不安定あるいは不可能な患者25例を対象に Back-Up 装着前後の座位の安定性を5段階の評価表を用いて評価した. その結果, 体幹筋の軽度の筋力低下のために座位保持が困難な症例には有効であることが判明した. 従来の座位保持システムに比較して Back-Up は小型軽量安価でスペースをとらず携帯可能であり, 装着も容易で体格を問わないなどの利点がある.
  • 佐藤 久, 中島 育昌, 古川 進, 清水 誠司, 阿部 正人, 萩原 茂, 河野 裕, 平川 寛之, 樋泉 光紀
    1999 年 15 巻 3 号 p. 246-251
    発行日: 1999/07/01
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    近年コンピューターを利用してデザインし, 製作することを意図として考えられたCAD/CAMが, 本邦でも数カ所の施設での取り組みが行われているものの, 残念ながら日本人のフィッティング感の問題もあり, 義肢システムでの実用化にはまだ至っていない. このような現状にわれわれは1995年から, 世界で二分する山梨の宝飾研磨技術に注目した. すなわち指輪など繊細な宝石の雛型を作る過程で利用している, 紫外線硬化樹脂から一貫してのシステムを応用することで, CAD/CAM義肢を製作する. そのためこれらに関係している各職種が参集して本研究をすすめてきた. 今回これまでの進捗状況を報告する.
  • 平塚 和人, 岡田 周介, 伊藤 利之, 菊池 尚久, 斎藤 薫, 小池 純子, 高岡 徹
    1999 年 15 巻 3 号 p. 252-256
    発行日: 1999/07/01
    公開日: 2010/02/25
    ジャーナル フリー
    座位保持が困難な重症心身障害児に対して Soft Boston Orthosis (SBO) を作製, 9症例について平均装着期間9.6カ月で臨床評価を行った. 対象を体幹筋の緊張により2群に分類すると, 体幹低緊張例では姿勢や装着の容易さなど高い満足度が得られた. また, 簡便な座位保持具上でも良好な姿勢が維持可能で, 座位保持に対する補助装置として有用と考えられた. 一方, 高緊張例では体幹の反りかえりが矯正できず良好な姿勢保持は困難であった. また, 短期的にはSBO装着による側弯の進行防止効果は, とくには認められなかった.
  • (2) 筋の痙縮と共同運動
    豊倉 穣
    1999 年 15 巻 3 号 p. 257-267
    発行日: 1999/07/01
    公開日: 2010/02/25
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