本研究では, 短下肢装具 (AFO) 装着による片麻痺歩行時の麻痺側下腿筋活動の変化を明らかにすることを目的とし, 5名の片麻痺者を対象に裸足から片麻痺歩行時に必要とされる装具機能を段階的に変えた際の, 動作筋電図学的解析を行った. 実験には, 機能の異なる2つのAFO (AFO-1, AFO-2) を用いた. AFO-1は, 足関節の内外反のみを制御し補助モーメントは発生しない. 一方, AFO-2は, 内外反の制御に加え背屈方向補助モーメントを発生する機構を有している. 実験の結果, いずれの被験者においても裸足から装具機能を満たす (裸足, AFO-1, AFO-2と変える) ことにより歩行速度は増加し, 麻痺側下腿の筋活動にも著明な変化が現れた. また, 裸足およびAFO使用による歩行時の筋活動の変化は, 被験者間で異なることが明らかとなった.
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