歩行中の身体各関節点の負担評価の試みとして, 床反力データと関節点の空間的位置関係から, 床反力による関節点まわりのモーメントを算出するとともに, 刻々のモーメント・アームの方向と長さにも着目し, 関節点を含む水平面上に2次元グラフとしてパターン表示する方法を試みた. 健常成人 (男3, 女2) での本表示法による基本的変化は, 正常歩行の動力学的機序とよく一致し, その妥当性が確認できた. また, 歩行速度の違いによる変化も, 忠実に感度よくとらえていた. 本表示法では簡便な計算で求められる関節点の負担の様子を, 水平面上の360[度]全域で評価でき, 従来からの剛体リンクモデルに基づいて算出される関節モーメント等の量的分析と併用することで, 臨床的に有効な分析ツールの1つになるものと思われた.
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