義足膝継手に求められる立脚期制御機能のうちで, 膝が健常者と同程度の大きさで軽度屈曲する動作は, 1歩行周期の間に占める時間の割合が大きいにもかかわらず, 大腿切断者がこれらの動作を容易に再現することは難しいと考えられてきた. しかし, 近年, 特殊な膝折防止機能を搭載して, 立脚時の膝軸の軽度屈曲と膝折れ防止という2つの機能を, 共に実現した義足膝継手が開発されるようになってきた. そこで本研究では, 最新の義足膝継手の立脚期制御機能に着目し, 膝の軽度屈曲動作が大腿義足歩行にどのように効果的に作用するかを明らかにすることを目的とし計測を行い, 以下の結果を得ることができた. 大腿義足歩行時の立脚期の膝関節軽度屈曲動作は, (1)体重心の上下動を少なくする, (2)踵接地時の衝撃を吸収する, (3)より早期に足底が地面と接地し立脚期の安定性が増加する, (4)膝伸展時に発生する駆動パワーは, 健常歩行と比較し大変小さく身体を前方へ推進させるまでの効果は期待できない.
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