脛骨部に自由度を与え, 装具に取り付けた弾性樹脂により脛骨部を後方に牽引して, 歩行中の脛骨前方変位量, 膝屈曲度, 脛骨後方牽引力, 牽引量を同時に測定することが可能な膝装具を開発した. 本装具が歩行時の脛骨前方変位に及ぼす影響を明らかにするため, 健常者を対象として歩行時の動的機能評価を行った. さらに, 本実験ではX線撮影装置を用いて, 大腿骨に対する脛骨の前方変位量を計測した. その結果, 本実験の測定範囲内において, 最大屈曲度付近において, 脛骨前方変位が最も大きくなること, 前十字靱帯の大腿骨起始部から脛骨付着部までの距離に相当する顆間窩上縁から前顆間区の小隆起起始部までの距離が, 本装具の牽引装置によって確実に減少しており, その減少は, 牽引力がある有限な値 (50N) に達するまで生じないことが明らかとなった.
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