(株)今仙技術研究所では,これまでにスポーツ用義足システムの開発,販売を行い,切断者の QOL 向上に寄与してきた.この開発では切断者スポーツのパーツの選択幅を広げることで,競技入門者,競技人口の倍増を目的としている.弊社では,陸上競技に代表される疾走用の専用部品のほかにスキーやテニスなど,任意方向への移動,体重移動が必要な競技に使用できる膝継手の開発を継続して行ってきた.この膝継手は,ユーザーや義肢装具士の協力の下,開発を進め,様々な競技,国内外の競技大会でその有効性を確認することができた.同時に,全国でのフィールドテスト,製作者やユーザーからのアンケートを実施し,開発品の有効性の確認と実用化への課題についても検討した.
我々は,6病院を対象に上肢装具の基本的情報と使用状況について調査し,コンプライアンス要因を検討した.調査対象者は,作業療法士と上肢装具使用者(患者)とし,基本的情報を択一式と自由回答にて調査し,装具の使用については VAS (Visual Analog Scale)評価を用いて調査を行った.装具対象者は外来患者が多く(83.3%),矯正を目的とした装具(9個,75%)が多かった.受傷から装具作製までの期間は,目的が矯正のものが 73.3日(SD=19.3),目的が固定のものは 10.3日(SD=12)であった.上肢装具の使用において,作業療法士と患者ともに,「十分に装着をしている」が少なく,何らかの改善の余地があると考えられた.作業療法士と患者の VAS 値,入院と外来の VAS 値には差はみられなかった.