本研究の目的は, 調整機能付き後方平板支柱型短下肢装具 (adjustable posterior strut AFO: ASP-AFO) と従来型装具の, 歩行機能性能と外観性を比較することである. 片麻痺者7例と不全脊髄障害者3例の10例を対象にASP-AFO, 従来型装具の両装具を使用し快適平地10m歩行速度を計測した. また, ASP-AFOの主観的評価のためにアンケートを実施した. 一部症例にはトレッドミル歩行分析も行った. 歩行機能性は, 平地歩行分析, トレッドミル歩行分析ともにASP-AFOの方が良好な結果であった. 外観性は, 主観的アンケートで「外観」「歩行感」「重量感」「装着しやすさ」の項目でASP-AFOの方が良好な結果であった. これらのことから, ASP-AFOは歩行機能性能のみでなく, 外観性についても従来型装具よりも良好であるといえた. 装具は, 装具使用者にとって, 服装と同様に身体表現の一部となることから, 装具の機能性を維持しつつ, 外観もコンパクトかつシンプルにする必要があると思われる.
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