水環境学会誌
Online ISSN : 1881-3690
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34 巻, 11 号
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原著論文
  • 小林 拓朗, 呉 亜鵬, 徐 開欽, 李 玉友, 稲森 悠平
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 34 巻 11 号 p. 161-171
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/10
    ジャーナル フリー
    生ごみを処理する循環式水素・メタン二段発酵プロセスにおける消化液循環の影響を解明するため,返送方法を変化させた連続運転を行った。循環なしのPhaseでは循環ありのPhaseと比較して平均炭水化物分解率が最大で半分程度,平均水素生成收率は最大27%低下した。これは水素発酵槽におけるC/NH4+比上昇に起因し,消化液循環はNH4+供給による水素発酵促進効果を有すると考えられた。一方,返送液の熱処理を行ったPhaseでは,熱処理なしのPhaseと比較して水素生成速度と收率の明確な向上が確認された。また,熱処理なしの連続運転において返送比増大に伴い水素生成速度と收率が減少することと,バッチ実験において返送液中の微生物は低いpHの下においても水素消費能を持ち,それは熱処理により消失することがそれぞれ明らかとなった。これらの結果から,活性のある消化液の返送は水素発酵槽における水素消費を促進し,水素生成收率を低下させる可能性を持つことが示された。
  • 藤木 修, 渡辺 晴彦
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 34 巻 11 号 p. 173-182
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/10
    ジャーナル フリー
    東京湾流域の75の下水処理場を対象に,COD,全窒素,全りんの負荷量を個別に,かつ同時並行的に取引するコンピュータ・シミュレーションを行った。その結果,取引により高度処理費用が約3割削減されることがわかった。非線形最適化問題としての理論的解析から,水質取引と排水課徴金との等価条件が導出される。水質取引のシミュレーションで得られた取引価格をもとに,等価条件に合う排水課徴金の料率を求めることができる。これを東京湾流域に適用して,排水課徴金のシミュレーションを行い,確かに水質取引と排水課徴金が等価な効果を持つことが確かめられた。また,互いに等価な水質取引と排水課徴金について,単位水量当たり純費用の排出源間の均等性を評価指標として公平性を比較したところ,課徴金収入の全額を補助金に充当する排水課徴金の方が,水質取引より優れていることが明らかとなった。
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