水環境学会誌
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46 巻, 4 号
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技術論文
  • 高梨 啓和, 山田 奈瑠実, 中島 常憲, 澤井 淳, 小久保 貴幸, 後藤 康之, 戸田 美沙, 鈴木 裕識, 新福 優太
    原稿種別: 技術論文
    2023 年 46 巻 4 号 p. 85-91
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    ジャーナル フリー
    電子付録

    ポストキャリブレーション型の網羅分析結果の解析 (物質推定) を支援するWEBシステム (化学物質探索システム) を構築した。構築したシステムは, 36,436物質の名称, 法規制状況などを収録したデータベースと, NIST/EPA/NIH Mass Spectral Library (NIST2020) を用いて調査した7,086物質のマススペクトルと3,377物質の保持指標値を収録したデータベースを備えている。調査の結果, NIST2020に収録されている情報は, 生態毒性物質の情報が豊富だが, 化審法対象物質などの日本の法規制上重要な物質の情報は乏しいことが明らかになった。また, 30物質を添加して調製した模擬河川水試料をガスクロマトグラフ-質量分析計で網羅分析した結果を本システムで解析し, 添加した30物質を正しく物質推定できるか否か検証した結果, 添加した30物質をすべて正しく推定できた。

調査論文
  • 北村 立実, 増永 英治, 鮎川 和泰, 大内 孝雄, 湯澤 美由紀, 佐藤 和貴, 清家 泰, 福島 武彦
    原稿種別: 調査論文
    2023 年 46 巻 4 号 p. 93-101
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    ジャーナル フリー

    北浦の底層水や底泥の酸素消費速度を調査するとともに, 現場で観測された水温成層や貧酸素水塊に関するデータを用いて, 北浦の貧酸素水塊の形成要因となる底層水と底泥の酸素消費の寄与について検討した。北浦の底層水の酸素消費速度は2,550~2,910 mg m-3 d-1, 底泥の酸素消費速度は652~1,080 mg m-2 d-1であった。水温成層を形成した時の底層水の水柱の高さが0.16 m未満では底泥の酸素消費の寄与が大きくなり, 0.60 mを越えると底層水の酸素消費の寄与が大きくなることが示唆された。また, 2019年7月28日から8月3日にかけて北浦の釜谷沖水質自動監視所における水温成層や貧酸素水塊の鉛直時系列データを用いて酸素消費の寄与を検討したところ, 湖底から水温躍層内全体では底層水の酸素消費の寄与が大きいが, 貧酸素水塊は湖底から形成されていたため, 底泥の酸素消費の影響も無視できないと考えられた。

  • 星合 靖夫, 伴 信一郎, 芦澤 広, 工藤 潤, 三輪 和範, 日暮 淳, 山口 秀幸, 寺田 昭彦, 畑 恭子, 河野 史郎
    原稿種別: 調査論文
    2023 年 46 巻 4 号 p. 103-112
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/10
    ジャーナル フリー
    電子付録

    地中から汲み上げられる天然ガス鹹 (かん) 水には, 天然ガスとヨウ素を含むだけでなく, 高濃度のアンモニアも含む。健全な水環境維持のためには, かん水から天然ガスとヨウ素を採取した後, 公共用水域に排水される排かん水中のNH4-Nの形態変化を把握することが重要である。本研究は, 排かん水が放流される感潮河川である一宮川を対象として, 現地調査および室内実験, 河川内の流動と窒素類の移流・拡散過程を考慮したシミュレーションモデルを用いてアンモニアの動態評価を行った。サンプリングと測定に基づいた現地調査と数値シミュレーションの結果, 排かん水は河道の下層を遡上してくる海水の上段 (全水深の中層付近) に沿って河川を流下しており, その平均滞留時間は1~3日程度であることがわかった。この期間にNH4-NからNOx-Nに硝化される濃度について, 室内実験から求めた硝化速度から推測すると, 0.06~0.22 mg-N L-1であった。現地調査においてもアンモニア態窒素が硝化されている様子は確認できず, 採水分析したNOx-N濃度も最大2.5 mg-N L-1程度であったことから, アンモニア態窒素が一宮川で酸化され, 生成するNOx-N濃度が環境基準を超過する可能性がないことが, 数値シミュレーションモデルを用いた解析および現地調査結果の両面から示唆された。

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