水環境学会誌
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36 巻, 6 号
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原著論文
  • 渡邉 亮哉, 高橋 慎太郎, 砂庭 崇之, 若原 慎一郎, 李 玉友
    原稿種別: 原著論文
    2013 年 36 巻 6 号 p. 157-164
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
    ジャーナル フリー
    メタンガス回収や余剰汚泥生成量の削減の可能性から,嫌気性処理と膜分離技術を組み合わせた浸漬型嫌気性膜分離法が近年注目を集めている。本研究では,25℃の室温条件において浮遊物質(SS)を添加した人工下水を処理する連続処理実験を行い,処理性能に及ぼす水理学的滞留時間(HRT)の影響の評価や微生物群集構造解析を行った。HRTは48 hから6 hまで段階的に短縮させた。HRT 12 hにおいて,化学的酸素要求量(COD),生物化学的酸素要求量の除去率は94%,95%を示し,投入されたCODの64.6%がメタンガスに変換された。古細菌の解析結果より,MethanosaetaMethanoregulaが優占した。また真正細菌の解析結果より,未分類の細菌が多く検出され,また通性嫌気性細菌が全クローンの約21%検出される,特徴のある群集構造であった。
  • 胡 勇, 荊 肇乾, 須藤 裕太, 北條 俊昌, 李 玉友
    原稿種別: 原著論文
    2013 年 36 巻 6 号 p. 165-173
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
    ジャーナル フリー
    エタノール,酢酸および硫酸塩を含む有機合成化学工場廃水に対するUASBプロセスの適用性を評価するために,COD/SO42- 比を20から0.5まで変化させた連続実験を行った。連続実験の結果から,COD/SO42- 比が20,COD容積負荷が25.2 g-COD·L-1·d-1の条件で,87.8%の高いCOD除去率が得られた。高濃度硫酸塩(6000 mg·L-1)およびCOD/SO42- 比が0.5の場合,79.2%のCOD除去率と0.20 L-CH4·g-COD-1のメタン生成率が維持された。COD/SO42- 比が20から0.5まで低下するのに伴い,流入CODのメタンガスへの転換率は80.5%から54.4%まで低下した。各COD/SO42- 比でメタン生成古細菌に利用された電子は79.4%以上であることから,メタン生成反応はリアクター内の主反応であることが明らかとなった。
  • 高松 達朗, 酒井 宏治, 小熊 久美子, 小坂 浩司, 浅見 真理, 滝沢 智
    原稿種別: 原著論文
    2013 年 36 巻 6 号 p. 175-181
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
    ジャーナル フリー
    N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)は,水のオゾン処理や塩素消毒処理による発がん性の副生成物で,紫外線分解される。分解産物はNDMAの前駆物質であり,紫外線分解処理後の塩素添加でNDMAを再生成する可能性が懸念される。本研究では,100 ng·L-1のNDMA溶液に共存物質として有機物と硝酸イオンを水道水質基準以下の濃度で添加し,共存物質がNDMAの紫外線分解特性とその後の生成能に及ぼす影響を調べた。分解速度は紫外線光源によって異なり,エキシマ,低圧,中圧紫外線ランプでそれぞれ8.7,2.7,2.3 cm2·J-1であった。分解は,共存物質によって阻害され,エキシマ,低圧,中圧ランプでそれぞれ約40~90%,7~50%,20~60%低下した。紫外線照射後の溶液にクロラミンを添加した場合のNDMA生成能の増加は,共存物質の濃度によらず最大5 ng·L-1以下であった。
技術報告
  • 石井 誠治, 奥村 浩, 岡内 俊太郎, 岡内 完治, 加藤 研太, 浦野 真弥, 浦野 紘平
    原稿種別: 技術報告
    2013 年 36 巻 6 号 p. 183-190
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
    ジャーナル フリー
    複数方向から紫外線を照射できるU字型ブラックライトと扁平なフッ素樹脂製反応容器を用い,5,000 mg·L-1以上のアナターゼ型酸化チタン粉末共存下,pH 3~5程度で,60~80℃程度に加温し,かつ空気を100~200 cm·min-1程度で循環通気して受光面積を増加させ,かつ酸化チタンを常に浮遊させることによって,炭素換算で50 mg-C·L-1程度までの有機物を完全に酸化分解できることを明らかにした。また,発生した二酸化炭素をアルカリ性の0.05~0.1 mol·L-1塩化ストロンチウム水溶液で吸収させると,生成した炭酸ストロンチウム微粒子の濁度が炭素濃度に比例することを明らかにした。この新しい原理による小型で安価な全有機炭素(TOC)計を試作し,各種の有機物水溶液および下水や産業排水等への適用性を確認した。なお,本方法で水中無機炭素を分析することもできる。
調査報告
  • 小倉 優大, 矢口 淳一, 小松 俊哉
    原稿種別: 調査報告
    2013 年 36 巻 6 号 p. 191-197
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/11/10
    ジャーナル フリー
    糞便汚染を厳密に特定するため,大腸菌,糞便性連鎖球菌をターゲットにリアルタイムPCR法を適用して遺伝子レベルでターゲットのみを迅速かつ特異的に検出し定量する方法を検討した。大腸菌のuidA遺伝子と糞便性連鎖球菌の23S-rRNA遺伝子をターゲットにしてリアルタイムPCRの閾値サイクル数と遺伝子コピー数の関係から検量線を作成し,排水処理施設や水域に適用して調査を行った。PCR法による大腸菌の計数値は,排水処理施設,水域ともほぼ大腸菌群数と糞便性大腸菌群数の中間に位置し,従来の指標との間に密接な関連性が認められた。さらに排水処理施設の処理水では大腸菌,糞便性連鎖球菌ともに他の指標ではほとんど不検出だったのに対し,PCR法では1×102~104個・100 mL-1程度検出され,過大評価につながる可能性が示唆された。リアルタイムPCRによる計数法は,大腸菌,糞便性連鎖球菌共に他の従来指標との間に高い相関性が認められ,新しい迅速な計数法となる可能性が示された。
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