水環境学会誌
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36 巻, 1 号
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原著論文
  • 庄司 良, 沖田 尚久, 中西 弘貴
    原稿種別: 原著論文
    2013 年 36 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/01/10
    ジャーナル フリー
    本研究では,フミン酸と銅の結合を考慮し,銅の藻類の生長阻害性のフミン酸の影響を定量的に調べた。まず,水素イオンと銅イオンのフミン酸への結合をNICA(non-ideal competitive adsorption)-Donnan Modelによって解析した。構築したモデルを用いて様々なpHにおけるフミン酸への銅の結合を予測し,次に,構築したモデルを用いて銅の藻類生長阻害性に対するフミン酸の影響を検証した。多摩川底質由来のフミン酸と市販のフミン酸とで銅の藻類の生長阻害性に対する影響が異なった。これは,多摩川底質のフミン酸がフルボ酸の性質に近く,市販のフミン酸と性質が異なっていることが考えられた。特に,フミン酸のカルボキシル基,フェノール基,ドナン相由来の3つの結合サイトの銅の結合量の総和に対し,結合力の強いフェノール基に結合した銅による藻類の生長阻害性への寄与は大きいと考えられた。
原著論文
  • 天野 厳斗, 栗栖 聖, 中谷 隼, 花木 啓祐
    原稿種別: 原著論文
    2013 年 36 巻 1 号 p. 11-22
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/01/10
    ジャーナル フリー
    本研究では,飲料水のリスクに関する様々な情報が消費者のリスク認知に対してどのように影響するのかを,提供情報の内容,個人特性,個人属性に着目して評価した。回答者は提供情報の組み合わせにより11グループに分けた。情報を提供しなかったグループに比べ,情報を提供した全てのグループで未知性因子得点が低くなる効果が見られた一方で,恐ろしさ因子得点が高くなった。また,集団感染事例やDALYなどの数値情報によるリスク認知への影響は大きくなかったが,特に集団感染事例についてはその数値の捉え方によって人々のリスク認知が異なることが明らかとなった。さらに,個人特性によるリスク認知への影響として,「無謀さ」などのリスクに対して能動的かつ積極的に対応する因子が大きいほど,恐ろしさ因子が大きくなる傾向が見られ,さらにこれらの特性因子得点が高いほど,情報提供の影響を受けやすいことが明らかとなった。
調査報告
  • 對馬 育夫, 小越 眞佐司, 山下 洋正, 原田 一郎
    原稿種別: 調査報告
    2013 年 36 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/01/10
    ジャーナル フリー
    福島第一原子力発電所事故に伴い飛散した放射性物質が,東北·関東を中心とする多くの下水処理施設において検出されている。本研究では,放射性物質により下水汚泥が高濃度に汚染されるメカニズムを解明するため,関東・東北地方の4箇所の下水処理場を対象に,流入状況の調査および各処理過程における放射性核種分析を行った。さらに,放射性物質を含む下水汚泥の埋立処分のための知見を得るため,下水汚泥焼却灰及び溶融スラグについて,溶出試験を行い,放射性セシウムの溶出特性を調査した。その結果,下水処理場内に流入した放射性物質は主に反応槽内において保持されていること,大部分の放射性物質が浮遊物とともに汚泥側に移行していることが示された。また,溶出試験において,本試験に供した12検体のうち9検体については,溶出液の放射性物質は検出限界値以下であり,残り3検体については,溶出率が0.5-2.7%と極めて小さかった。
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