水環境学会誌
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34 巻, 2 号
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原著論文
  • 山本 裕規, 山本 民次, 高田 忠宏, 三戸 勇吾, 高橋 俊之
    原稿種別: 原著論文
    2011 年34 巻2 号 p. 19-28
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/10
    ジャーナル フリー
    広島湾北部海域で毎年夏季に発生する貧酸素水塊の形成と規模の経年変動には複数の要因が関与しているため,海水中および底泥中の物質の動的なプロセスを取り扱える浮遊系-底生系カップリング・モデルを構築し,貧酸素水塊形成メカニズムについて詳細な解析を行った。その結果,1)底泥還元層で生成されて海水中へ溶出するODU(有機物分解時に生成される還元物質の総和)の酸化による酸素消費は貧酸素水塊形成の重要な要因の一つであるが,その経年変動は小さく,貧酸素水塊の規模の経年変動を左右する要因にはならないこと,2)貧酸素水塊の規模は,内部生産による有機物の沈降・分解による酸素消費量によって大きく左右されること,3)河川水流入量が大きい年は,エスチュアリー循環流が発達することで,外部から北部海域下層に供給される酸素フラックスが増大するため,流入負荷が大きいにも関わらず貧酸素水塊の発達が抑制されることなどが明らかとなった。
  • 大塚 佳臣, 栗栖 聖, 中谷 隼, 花木 啓祐
    原稿種別: 原著論文
    2011 年34 巻2 号 p. 29-40
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/10
    ジャーナル フリー
    本研究では,千葉県北西部をモデルに,都市中小河川に関する住民アンケートを行い,潜在セグメントロジットモデルを適用したコンジョイント分析によって,川に対する意識が,川の機能に対する金銭価値評価へ与える影響を解析した。普段利用/目にしている川(近隣河川)の機能に関する金銭価値評価は,近隣河川だけでなく水辺全般の経験によって形成された近隣河川への意識に応じて有意な差があることが示された。水辺経験が豊富で,川を自然環境の一つととらえる住民はアメニティ機能改善に,洪水や水質汚濁経験を有し,川に否定的な意識を持つ住民は治水機能改善に価値を認めていた。一方で,水辺自体に関心がない住民はあらゆる機能に価値を認めていなかった。河川整備を計画するにあたり,住民の対象河川への意識をもとに,優先機能の多様性を把握することは,整備の優先順位や予算配分を効率的に立案する上で極めて重要である。
技術報告
  • 青木 仁孝, 荒木 信夫, 珠坪 一晃, 山口 隆司
    原稿種別: 技術報告
    2011 年34 巻2 号 p. 41-45
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/10
    ジャーナル フリー
    Real-time PCR (polymerase chain reaction) 定量でスタンダードDNAとして用いるPCR増幅産物の適合性を,Real-time PCR法により作成した検量線により評価した。同じ遺伝子コピー数におけるThreshold cycle(Ct値)は,メタン生成古細菌のゲノムDNAとその16S rRNA遺伝子を増幅したPCR増幅産物で-0.7~5.6サイクル異なった。この結果は,スタンダードDNAにPCR増幅産物を用いる場合,定量誤差が発生することを示すものである。また,検量線の傾きに基づいたPCR増幅効率(E)は,PCR増幅産物のReal-time PCR定量におけるスタンダードDNAとしての適合性を評価するには不十分であった。
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