水環境学会誌
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35 巻, 5 号
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ノート
  • 寺田 翔, 三宅 英美, 浦瀬 太郎
    原稿種別: ノート
    2012 年 35 巻 5 号 p. 73-80
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/10
    ジャーナル フリー
    水環境中から数多くの大腸菌を釣菌し,基本的な抗生物質に対して耐性を有する菌の割合を調べ,環境調査事例の少ない比較的新しい人用抗生物質を含む薬剤に対する耐性プロファイルを調べた。人為的汚染の少ない高尾山の清流では耐性菌比率は低く,耐性プロファイルも1剤耐性の単純なものがほとんどであった。多摩川では降雨の影響のある場合にテトラサイクリン1剤耐性の大腸菌が多く,畜産由来の抗生物質耐性大腸菌の寄与が考えられた。大学廃水処理施設から採取した大腸菌では,人用使用の多いフルオロキノロン系,後代のセファロスポリン系,アミノグリコシド系にまたがる多剤耐性菌が多く存在した。カルバペネム系抗生物質に耐性を持つ大腸菌は本研究で確認されなかった。世代別セファロスポリン系薬剤への耐性率は,大腸菌の由来と深い関連が示唆された。
技術報告
  • 中島 淳, 鬼倉 徳雄
    原稿種別: 技術報告
    2012 年 35 巻 5 号 p. 81-88
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/10
    ジャーナル フリー
    九州北部に分布する淡水魚類53種を用いて,魚類の生息場所としての水環境の健全度を評価するための平均スコア法を考案した。また,考案した手法が実際に水環境の健全度を反映しているかどうかについて,九州北東部の河川105地点,北西部の河川105地点,水路103地点において取得した魚類分布データを用いて検証した。その結果,当スコア法により算出した各地点の得点の平均点は北東部河川,北西部河川,水路間で有意差はなく,河川勾配との相関もなかった。また,スコアと都市用地面積,外来魚種数の間には負の相関が認められた。これらの結果から,当スコア法による評価は九州北部の様々な環境で適用が可能であり,スコアの高低は魚類の生息場所としての水環境健全度の高低を反映していることが示唆された。
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