ミルクサイエンス
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57 巻, 3 号
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総説
原報
  • 山口 真, 内田 勝幸
    2008 年 57 巻 3 号 p. 87-90
    発行日: 2008年
    公開日: 2014/03/15
    ジャーナル フリー
     乳清ペプチドを含有する流動食(MHN-02)がラット腸虚血再灌流モデルにおける血清 IL-6 の上昇に対し有用性を示すか検討を行った。SD 系雄性ラットをウレタンによる麻酔下に,上腸間膜動脈をクランプすることによって45分虚血し,クランプを外して 3 時間再灌流する事で虚血再灌流を行った。虚血の 1 時間前に,試験食を十二指腸内へ投与した。血清 IL-6 は,ELISA で測定した。虚血再灌流により血清 IL-6 濃度は再灌流後 3 時間目まで経時的に増加した。虚血再灌流 3 時間後の MHN-02投与群では対照群に比較して血清 IL-6 濃度は有意に低値であった。以上,MHN-02は,術後侵襲患者の高サイトカイン血症を軽減する流動食として有用であると考えられた。
  • 津田 治敏, 江島 由花, 双 全, 宮本 拓
    2008 年 57 巻 3 号 p. 91-96
    発行日: 2008年
    公開日: 2014/03/15
    ジャーナル フリー
     本研究では,バングラデシュのダヒから分離した乳酸菌 J525-2 株の抗変異原性を調べた。ダヒ“dahi”は,インドおよびバングラデシュなどで伝統的に作られている発酵乳製品である。本菌株はホモ型発酵形式で L-乳酸を生産する中温性の乳酸球菌であり,糖類発酵性試験の結果などから Lactococcus lactis subsp. lactis と同定した。この菌株で調製した発酵乳は食品変異原物質であるヘテロサイクリックアミン(Trp-P-1, Glu-P-1, MeIQ)に対して抗変異原性を示した。抗変異原性の要因を検討するために培養液と菌体を除去した培養濾液の抗変異原性を調べたところ,培養濾液では抗変異原性が見られなかったことから,菌体が抗変異原性に関与していると考えられた。そこで,変異原物質の菌体への吸着を調べたところ,菌体は変異原物質を吸着していた。この吸着活性に及ぼす pH および反応時間の影響を調べたところ,pH 6.0で最大となり酸性側では低くなった。また,吸着は即時的に起きており,反応時間10分後にはほぼ最大となり50分後まで吸着率はほとんど変化しなかった。以上のことから,この J525-2 株で調製した発酵乳製品が示す抗変異原性は菌体によるものであることが示唆され,菌体は変異原物質と結合する事がわかった。
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