ミルクサイエンス
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64 巻, 1 号
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原著論文
  • 飛田 啓輔, 大谷 元
    2015 年 64 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/18
    ジャーナル フリー
     本研究では,食品や腸管常在の乳酸菌および菌体成分存在下におけるマウス由来マクロファージ様株化細胞 J774.1の IL-12産生に及ぼす Lactobacillus crispatus KT-11株(KT-11)の影響を検討した。J774.1細胞培養上清中の IL-12濃度は,10 μg/mL以上の KT-11の添加によって有意に高くなった。また,乳酸菌やトール様受容体(TLR) 2 のリガンドでの刺激による IL-12の産生は,KT-11の添加によって有意に高くなった。一方,KT-11を添加して培養した J774.1細胞の TLR2 の発現は,KT-11無添加の場合と比較して有意に高かった。以上の結果は,KT-11が J774.1細胞の TLR2 の発現を促すことにより,乳酸菌や TLR2 リガンドによる IL-12産生を促進することを示している。
  • ~青海省東部の定住化遊牧世帯と農牧複合世帯の事例から~
    平田 昌弘, ナム タルジャ, 小川 龍之介, 海老原 志穂, 津曲 真一, 別所 裕介, 星 泉
    2015 年 64 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/18
    ジャーナル フリー
     本稿では,青海省東部におけるアムド系チベット牧畜民(遊牧民と農牧複合民)の乳加工体系を把握することを目的とした。アムド地域では,生業形態の枠組みを越え,発酵乳系列群,クリーム分離系列群,凝固剤使用系列群の 3 つの乳加工技術が広く採用されていた。発酵乳系列群の特徴は,1)生乳を自然発酵もしくは酸乳を添加してからチャーニングしていること,2)チャーンには攪拌桶・攪拌棒と革袋の両方の技術が存在していたこと,3)乳脂肪の分画が食用にはバターで終了していること,4)バターミルクの加熱・脱水により非熟成乾燥チーズを加工していること,5)自然発酵乳/酸乳添加した生乳を用いたバター・チーズの加工(非加熱自然発酵亜系列)と酸乳の加工(加熱乳発酵亜系列)とはそれぞれ別々に加工されていることにある。クリーム分離系列群と凝固剤使用系列群の乳加工技術は,主要な乳加工技術とはなっていなかった。今後,調査件数を増やし,周辺地域の事例と比較分析することにより,アムド系チベット牧畜民の乳文化の起原と発達史を解明していくことが課題である。
  • 武藤 正達, 宮内 浩文, 清水(肖) 金忠, 阿部 文明
    2015 年 64 巻 1 号 p. 15-23
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/18
    ジャーナル フリー
     Bifidobacterium (B.) longum subsp. longum (Blon), B. breve (Bbre), B. animalis subsp. lactis (Blac) はビフィズス菌種の中でも最もよく粉乳に添加される菌種である。これまで発酵乳や発酵工程を含まない乳,粉乳,スターターカルチャーに含まれるビフィズス菌の菌数測定法については国際標準法が発行されている。本標準法では,培地としてムピロシンを添加した転移ガラクトオリゴ糖プロピオン酸(TOSP)寒天培地,希釈液として 1/4 強度リンゲル溶液もしくは他の適切なものが指定されているが,まだ改善の余地がある。我々は以前,菌数測定時に使用する希釈液が粉乳製品中のビフィズス菌数値に大きく影響を及ぼすことを示し,リンゲル溶液よりも光岡バッファーを使用する方が有意に高い菌数値を示すことを報告した。本研究では,粉乳製品に含まれるビフィズス菌を効率よく検出することができる懸濁液の開発及び特定のビフィズス菌種を選択的に検出する培地に関する検討を行った。光岡バッファーに Tween-80とペプトンを添加することにより,粉乳に添加されたビフィズス菌の検出率が上昇した。各種ビフィズス菌を含む19種の粉末市販製品を用いて菌数測定を行ったところ,従来の光岡バッファーよりも改良光岡バッファーを使用する方が有意に高い菌数が検出された。また,菌種選択的培地の開発については,RCM agar の培地成分に単一糖源としてそれぞれ L-アラビノースと D-ソルビトールもしくは D-マンニトールを添加した培地することにより,それぞれ Blon と Bbre を選択的に検出することが可能になった。これらの結果は,粉乳製品に含まれるビフィズス菌数の効率的な検出,及び特定のビフィズス菌種の選択的な菌数測定に対する有用な情報を提供する。
総説
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