整形外科と災害外科
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61 巻, 3 号
選択された号の論文の61件中51~61を表示しています
  • 上松 幸三郎, 渕上 徹郎, 津守 伸浩, 田中 信次, 森本 典夫
    2012 年 61 巻 3 号 p. 557-560
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    我々は高度肥満が原因で腰椎硬膜外脂肪腫症を発症したと考えられる1例を経験したので報告する.症例は71歳女性,身長150cm体重91kg BMI 40.4 肥満4度 糖尿病以外の合併症はなくステロイド投与歴はなかった.2カ月前から腰痛,両下肢の痺れ,間欠性跛行をきたし当院初診.MRIにてL4/5椎間にて硬膜外脂肪の増生による著明な硬膜管の狭小化を認めた.脊髄造影でも同様の所見であったため硬膜外脂肪腫症と診断し脊椎除圧手術を施行した結果,術後症状は軽快した.脊椎硬膜外脂肪腫症は外因性ステロイド長期投与や肥満に伴い脊柱管内に増生した脂肪組織により硬膜管が圧迫されることにより発症するとされる比較的稀な疾患である.日本人は欧米に比べれば高度肥満者の割合が少ないため肥満のみが原因で神経症状を有する硬膜外脂肪腫症を発症するのは比較的稀である.
  • 吉田 匡希, 永島 英樹, 楠城 誉朗, 山下 英樹, 柳樂 慶太, 谷田 敦, 豊島 良太
    2012 年 61 巻 3 号 p. 561-566
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    腰椎椎間板ヘルニアによる疼痛性側弯症は非構築性側弯症に分類されている.今回,特発性側弯症として紹介された腰椎椎間板ヘルニアの2例を経験したので報告する.【症例1】17歳女性.腰痛と右臀部痛のために前医を受診し,特発性側弯症として紹介となった.身体所見では,SLRTは右40°で陽性であった.単純X線写真ではCobb角21°の右凸腰椎側弯を認め,Central Sacral Vertical Line(以下,CSVL)はC7Plumb lineより5.5cm左を通過し,回旋は認めなかった.【症例2】14歳女性.腰痛のために前医を受診し,特発性側弯症として紹介となった.身体所見では,SLRTは両側20°で陽性であった.単純X線写真ではCobb角26°の右凸胸椎側弯を認め,バランスは良く,回旋は認めなかった.両症例ともMRIでL4/5椎間板ヘルニアを認め,保存療法で改善した.構築性側弯症と非構築性側弯症の鑑別には,詳細な身体所見と単純X線所見を併せて評価することが重要である.
  • 青野 誠, 齊藤 太一, 入江 努, 田中 哲也, 末永 英慈, 園田 和彦
    2012 年 61 巻 3 号 p. 567-570
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    【はじめに】腰部脊柱管狭窄症(以下,LSCSとする)の画像診断においてMRIは非侵襲性の有用な検査である.一方,LSCSは間欠跛行を主訴とするため,脊髄造影のように腰椎の動態撮影における神経圧迫の変化を捉えることも重要である.今回,われわれは両者の相関関係について検討した.【対象と方法】当院でMRIと脊髄造影の両検査を実施し,L4-5に主病変を有するLSCS患者30例(男性19人,女性11人,平均年齢71.4歳)を対象とした.L1椎体中央レベルを基準とし相対的にL1-2,2-3,3-4においてMRIと脊髄造影動態撮影における硬膜管前後径を比較検討した.【結果】下位レベルほど硬膜管前後径は狭小化していた.脊髄造影所見から手術を行った症例がL2-3,L3-4で各3例あった.動態撮影後屈位で狭窄が増強する例もあり,MRIのみでLSCSの診断を行うことには注意が必要であると考えられた.
  • 横田 和也, 阿久根 広宣, 菊池 直士, 井上 三四郎, 宮崎 幸政, 井ノ口 崇, 高野 祐護, 宇都宮 健
    2012 年 61 巻 3 号 p. 571-574
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    症例は61歳女性.約1年前より腰痛を自覚し,2ヶ月前に近医を受診,MRIで腰椎馬尾レベルに腫瘍性病変を指摘され当科紹介受診となった.MRIでL3/4レベルにT1強調像で低信号,T2強調像で高信号,Gd造影で造影効果に乏しい卵円型の硬膜内腫瘍を認めた.腫瘍切除により症状は改善を認めた.病理診断はendodermal cystであった.比較的稀な腫瘍であり,また画像所見でも特異的な所見に乏しく,術前診断は困難であった.硬膜内嚢胞性病変の鑑別疾患として,本疾患についても念頭に置く必要があると考えられた.
  • 園田 和彦, 齊藤 太一, 入江 努, 田中 哲也, 末永 英慈, 青野 誠
    2012 年 61 巻 3 号 p. 575-578
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    腰椎椎間板嚢腫の1例を経験したので報告する.症例は35歳男性.1週間前から特に誘因なく腰痛,右下肢外側痛・しびれを生じ当科受診.単純X線上は明らかな異常所見を認めなかった.MRIにてL4/5椎間板の右後方に接してT1強調像で等信号,T2強調像で高信号の嚢腫様病変を認め,これにより神経は高度に圧迫されていた.椎間板嚢腫による右L5神経根症と診断し嚢腫摘出術を施行,術後,症状は速やかに改善した.腰椎椎間板嚢腫は比較的稀な疾患であるが,腰椎MRIにて診断可能であり,手術的治療によって良好な成績が得られた.
  • 高田 真一朗, 田中 秀俊, 池田 聡
    2012 年 61 巻 3 号 p. 579-583
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    【目的】今回我々は腰椎硬膜外に発生した脊柱管内ganglionの1例を経験したので報告する.【症例】82歳,女性.特に誘因無く両下肢痛が出現したため,近医受診.腰部脊柱管狭窄症を疑われ保存的加療を行うも症状改善しなかったため当院受診.MRIにてL4/5レベル左側硬膜外に嚢胞性腫瘤を認めた.左L4/5椎間関節に隣接していることよりsynovial cystを考え,左L4/5開窓術および嚢腫切除術を施行した.【手術時所見】腫瘤は硬膜管背側正中~左寄りに認め,被膜に覆われ色調は暗褐色を呈していた.内容物は粘調であった.被膜は硬膜から剥離できなかった.【病理組織所見】嚢胞壁は膠原繊維組織で,泡沫細胞の小集簇巣と粘液状変性を認めたが,lining cellは認めなかった.【考察】腫瘤内容物と病理組織所見より腰部脊柱管内硬膜外ganglionと診断した.腰部脊柱管内硬膜外ganglionの報告は少なく,文献的考察を含め報告する.
  • 久我 尚之, 萩原 博嗣
    2012 年 61 巻 3 号 p. 584-587
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    腰椎手術例における心理的障害と手術成績の関連を調べるために,JOABPEQでの術前心理的障害の程度と他項目,VASの改善度との相関性,および術後心理的障害改善度と他項目,VAS改善度との相関性を調べた.術後,疼痛関連障害や歩行機能障害は70%以上改善していたが,社会生活障害や心理的障害の改善は50%以下と低かった.術前心理的障害の程度と術後各項目の改善度とは正の相関性はみられなかった.術後心理的障害改善度と腰椎機能障害,歩行機能障害,社会生活障害,腰痛VAS,下肢痛VASそれぞれの改善度とに正の相関性がみられた.自験例でのJOABPEQ,VAS評価の統計学的検討において術前心理的障害と手術成績との関連はなく,腰椎機能や歩行能力の向上,腰下肢痛の軽減が術後心理的障害改善に強く影響したと示唆された.
  • 樫原 稔
    2012 年 61 巻 3 号 p. 588-591
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    症例は55歳女性で,5年前に右膝痛が出現し,以後疼痛が増強したため当科受診した.X線写真は外側関節裂隙の狭小化などの変形性関節症と脛骨上端に骨硬化像を伴う境界鮮明な骨透亮像を認めた.MRIは外側半月板断裂を疑う所見と,脛骨近位端外側と正中にT1強調像で低信号,T2強調像で高信号の小円形の腫瘍陰影を認めたが,関節腔との交通はなかった.手術は断裂した外側半月板を鏡視下部分切除してから腫瘍を摘出して,人工骨を充填した.摘出した腫瘍はゼリー状内容物を含み,病理組織像は膠原線維からなり,lining cellを認めず骨内ガングリオンと診断した.術後,疼痛は軽快した.骨内ガングリオンの発生原因は力学的ストレス関与などがいわれているが,いまだ不明である.本症例では,外側半月板断裂と変形性関節症があり,ストレスの集中による血行障害がガングリオン発生の要因と考えられた.
  • 篠原 直弘, 永野 聡, 横内 雅博, 佐々木 裕美, 嶋田 博文, 坂元 裕一郎, 海江田 英泰, 有島 善也, 小宮 節郎
    2012 年 61 巻 3 号 p. 592-594
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    骨巨細胞腫は良性腫瘍ではあるが,再発率の高さから種々の治療法が検討されてきた.今回,当科での治療成績について検討した.【方法】2005年から2010年の間に,当科で手術した15例を対象とした.男性7例,女性8例,手術時平均年齢は38歳.発生部位は,大腿骨5例,脛骨2例,腓骨1例,撓骨4例,上腕骨1例,腸骨1例,仙骨1例.術後経過観察期間は平均43カ月であった.【成績】10例に対し病巣掻爬術,5例に対し切除術を行った.病巣掻爬術には全例骨セメント充填を行った.再発は3例に認め,病巣掻爬+骨セメント充填術にて2例,切除を行なった症例で1例であった.【結論】切除術は再発を防ぐ目的では掻爬術より優れるが,再建術を要するため機能障害も危惧される.今回,掻爬+骨セメントでも良好な成績が得られており,関節機能の温存の点から術式選択を検討する必要があると考えられた.
  • 本山 達男, 尾川 貴洋, 永芳 郁文, 古江 幸博, 川嶌 眞之, 樋髙 由久, 田村 裕昭, 川嶌 眞人
    2012 年 61 巻 3 号 p. 595-599
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍転移による長管骨病的骨折では,骨接合後,生命予後が悪く経過を長く追えないことが多い.また通常の骨折よりは骨癒合も得られにくいと考えられる.今回乳癌の多発性骨転移より,些細な動作で左大腿骨転子下病的骨折を発症,骨接合を行い骨癒合が得られた1例を経験した.症例)77歳,女性,2010年6月近医整形外科で加療中,臥位から起き上がる動作のみで左大腿骨転子下骨折を受傷,当院入院となった.単純X線では骨折部は透亮像が見られ完全転位を来し,骨盤にも多発性に硬化像を認めた.入院6日目にエンダー釘による骨接合を施行し,術後2週目より30%荷重歩行を開始し,術後3週で総合病院へ転院となった.退院時には仮骨形成が認められていたが,松葉杖をずっと使用するよう指示をしていた.1年1か月後に右の大腿骨転子下病的骨折を受傷し再入院となった.全身多発性骨転移の状態であったが左大腿骨転子下の骨折部は骨癒合が得られていた.
  • 田中 慎一郎, 岡 潔, 薬師寺 俊剛, 佐藤 広生, 水田 博志
    2012 年 61 巻 3 号 p. 600-603
    発行日: 2012/09/25
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    【背景】長期経過において軟部転移を繰り返した軟部淡明細胞肉腫の1例を経験したので報告する.【症例】78歳,女性【主訴】右大腿部腫瘤【現病歴】平成14年4月に右大腿部に腫瘤を自覚したため近医を受診し,MRIにて腫瘍性病変を認めたため当科外来受診となった.【現症】右大腿外側部に3×2cm,弾性硬,可動性不良な腫瘤を触知した.発赤,熱感,圧痛は認めなかった.【組織】類円形の大型の異型細胞が充実胞巣状に増殖しており,免疫染色にてHMB-45及びS-100蛋白が陽性であったためCCSと診断された.【経過】平成14年7月に広範切除術を施行.その後,術後4年に左大腿部に,さらに術後9年に左背部に転移性病変を認めたため,それぞれ広範切除術を施行した.現在新たな再発,転移性病変は認めない.
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