低音部に残存聴力のある高音急墜、漸傾型の感音難聴は補聴器装用が困難な場合が多い。近年、このような症例に対し低音部は音響刺激で、高音部は人工内耳による電気刺激で聴取能を得る、残存聴力活用型人工内耳 (EAS) が登場した。2010年8月より、この残存聴力活用型人工内耳 (EAS) が高度医療として承認され、当科で行った9症例について術後聴取能の評価を行った。EASで用いる人工内耳電極はMED-EL社製FLEX
eas、スピーチプロセッサはDUET 2を使用した。手術法は蝸牛への侵襲を低減させるため正円窓アプローチで行った。術後すべての症例で低音部の残存聴力が温存された。術後のEASでの装用閾値は40dB以下を示し、良好な聴取閾値を認めた。また、67-S語表を用いた検査、CI2004での聴取能の評価でも音入れ後3ヶ月で大きく改善していた。EASはすでに海外で臨床応用されているが、日本人においても良好な聴取能を得られることが確認された。
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