相互作用型授業の一つである仮説実験授業を,大学生向けのオンライン授業として実施した場合の再現性について調べた。同じ受講生(大学生)のクラスに対して,対面方式とオンライン方式の仮説実験授業をそれぞれ実践した。実践後の受講生に対するアンケートを分析することで,対面方式と比較したオンライン方式での仮説実験授業の再現性や,仮説実験授業をオンラインで実施する場合の利点や課題を明らかにした。
「ベテラン座談会」と称して,実は会員の年齢構成上の「中堅」の会員である高校・大学の教員 4 名にご参加頂き,オンライン上で座談会を行った。それぞれに経験豊富な面々であり,様々な論点に立ち,現状の課題と展望について,大きな視点から,多くの有意な発言をしてくださった。「物理教育の目指すもの」「学会の今後の展開」「若手に期待すること」など,実に考え深い,示唆に富む情報交換の場となり,学生,生徒・児童に「何を学んでほしいのか」,「どう学ばせるのか」,ともすると見失いがちな,日々の授業の構築のための原点を見直す機会となった。
ベテラン座談会の一聴講者が,座談会のさまざまな話題を振り返って感じたことを書かせていただいた。物理教育に関する豊富な経験を持つ先輩諸氏に学ぶことができる今回のような企画は,会員が持つ知を共有し継承していくために重要だと感じた。座談会における多岐にわたる話題から,学会が関わる物理教育は,学生や生徒・児童を対象とするものだけでなく,教師や研究者に対する教育をも含む幅広いものであることにあらためて気付かされた。それぞれの教育において課題もあるが,同時に今後の展望やアイディアが多様な視点から語られた有益な座談会であった。
若手・中堅の学会員である高校・大学の教員 6 名にご参集いただき,オンライン上で座談会を行った。参加者は物理教育研究について,明日の授業で使えるものと,学問としての 2 つの側面を認識している。また,物理学と物理教育の研究の違いについても意見が出された。高校物理基礎の好感度について意見交換をし,我々が目指すべきものを再確認した。物理教育学会員の増加及び学会の魅力向上のため,学生会員や,忙しい現場の先生向けのコンテンツ提供など,未来志向の意見が出された。最後に 100 周年に向けてコメントをいただいた。
今号掲載の「学会70 周年記念若手中堅座談会」を読むと,物理教育,物理教育研究の今後や,本学会のありかたなどについて,さまざまな視点から意見交換がなされたことがうかがえる。非常に活発な意見交換であったため,休憩中や終了後の雑談の中での興味深いご発言や,紙幅の都合で割愛せざるをえなかったご発言なども多々あった。そこで,先の座談会記録では紹介しきれなかったご発言と,筆者の感想を交えながら先の座談会記録とは異なる形で座談会の成果をまとめた。