ガリレオが本格的物体運動論取組みの初期段階(〜1604)で,誤った加速運動の原理:v∝S を設定して考察をしていたことは有名で,異端審問に繫がった『天文対話』(1632)第二日に,正しい原理 v∝T に基づく「倍距離則」を記載し,運動論に初めて時間軸を導入したが,誤った原理の克服法は不明である。彼の「誤り」は現代の「速さ」概念把握の困難さと類似の要因によると捉え,彼の複数の著作の記載事項から克服法を推定し,「倍距離則」の説明文の問題点を指摘し,現代の微積分の視点で上記「問題点」解決の授業を例示する。
線密度が異なる 2 本の弦を接続して作った 1 本の弦でメルデの実験を行ったとき,定常波が生じる共振条件を強制振動による波動方程式から導出した。接続した接合点が定常波の腹あるいは節になる場合や,それ以外の振動状態の定常波について理論的考察を行った。さらに,定常波の観察を行い共振周波数は理論値とほぼ一致することを示した。
概念指標を用いた調査の際,初めて物理を学ぶ高校生の学習前(pre)の得点が,学習後(post)の得点と同じように意味のある測定値なのかを検証した。力学・力学的エネルギー・熱・波動分野の 4 種の概念指標について,高校「物理基礎」のクラスにおける解答データ 4305 件を因子分析と信頼性係数の方法を用いて分析し,1 次元性の観点から妥当性を評価した。その結果,波動分野以外の pre,post テストには同程度の 1 次元性が認められた。 波動分野については,pre テストにおける当て推量の影響を考慮することにより,1 次元性に問題はないと判断された。
コの字型の導線を磁界中の銅板の上で滑らせることで,ローレンツ力による起電力が発生する状況を作り,コンデンサーの特性を利用して起電力の測定を行った。またそれらを確認する実験を行った。
科学部はあっても「物理部」がある高校は少ないかもしれない。本校物理部は,生徒主体で小学生向けの実験講座を行ったり,文化祭では全長 20 m を超えるソーラーバルーンを飛ばしたりしている。部員は 10 名程度で,文系理系,先輩後輩,男女関係なく,仲間と物理を楽しむ貴重な高校生活を送っている。本文では,「理科好きの小学生を楽しませること」に目的を絞って高校生が考えた物理学実験講座の内容を中心に,物理部の活動全般を示す。生徒の視点や考えを紹介し,部活動を通じてどのような学びを得ているのかを伝えたい。
私は本稿執筆現在,大阪大学の核物理研究センターでポスドクの研究員として働いている。このような私は,高校時代は科学系の部活動に所属しており,全国高等学校総合文化祭や日本物理学会主催 Jr.セッションといった全国大会に参加し,研究発表を行うという経験を積んでいた。本稿では,このような高校の部活動の経験が如何にその後の進路に影響を与えたのかを述べる。
SSH 指定校では,教育課程に位置付けられた授業として理科課題研究を実践している。SSH 指定校 2 校で理科課題研究に関わってきたことにより,SSH 指定校で理科課題研究を行う上での課題及び高校と大学での研究活動の違いが明らかとなってきた。今後,高校(SSH 等)と大学,民間,NPO との連携が促進され,将来の科学技術系人材の育成が促進されることを期待し,SSH における理科課題研究の実践を報告する。
北海道内のいくつかの SSH 指定校にて,長年にわたって運営指導委員や課題研究の講師・助言者として高校生の研究活動に関わってきている。高校生の行う「研究活動」には様々なレベルのものがあることは事実であり,高校生自身の研究活動に対する意識にも,大きな個人差が存在し得る。大学教員が高校生の研究活動に対して助言を与えたり指導のサポートを依頼されたりすることも多いと思われるが,高校生による研究活動と大学生・大学院生による研究活動との間に存在する差異に,十分に配慮することが必要である。
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