物理を基礎とする包括理科では,自然科学の基礎概念や基本法則を基本に据えた科学理論の体系を学ぶ中で,「科学とはなにか」を把握できるようにする。自然科学は,自然に関する個別知識や法則の単なる寄せ集めではなく,物理学を基礎としその上に築かれた一つの理論体系である。また,自然の仕組みを探究するために自然科学特有の「方法」がある。それゆえ,科学教育では,科学の理論と方法の両方を教えることで,科学とは何かを理解させ,自然観を育成すべきである。科学とは何かを正しく理解するには,好きなもののみを摘み食いするのでなく,系統的かつ体系的に学ばねばならない。また,科学の方法の意味を理解するには,理科の各分野の知識を学ぶ中で,科学の方法を具体的に把握しなければならない。本稿では,これまでの理科教育であまり意識的に教えられなかった「科学の方法」を中心に取り上げ,その内容と意義について述べると同時に,その導入方を科学史的観点も交えて具体的例を挙げてに展開する。
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