ドイツ・チューリンゲン邦の8年制ギムナジウムに焦点を当て,いわば同邦の学校教育法施行規則,学習指導要領,教科書などから,6年間にわたる物理教育のカリキュラムの現状を明らかにし,その背景を探ってきた。最低授業時間の確保の上に大きな選択幅を準備していること,生涯学習の目的から発し,総合的なテーマや,他の科目との関連に配慮することが求められていること,履修パターンの違いに拘わらず,学習内容の構成や順序は同じであること,また,画一的な学習に陥らないことなどの現状;主要科目の成績で上位3割程度の生徒に対して大学入学資格証付与を目的とした学校種において,初等教育段階への配慮を必要としないし,高等教育段階からの要請を受けないという背景,を指摘した。
抄録全体を表示