東京における「今春の物理入試問題についての懇談会」(通称「入試懇談会」)は,今回が第14回である。今回は,「2006年問題」が,いよいよ来年度に迫り,逼迫した課題として,高校・大学の双方の共通した関心事であり,これに関わる議論や情報交換も活発に行われた。また,その背景にある「新課程」をめぐる課題として,高校・大学連携の問題や,初等・中等教育全体のカリキュラム問題にも話題は展開した。各大学の問題に関連する議論においては,各大学ともに,受験者の学力的な現状認識に基づき,入試問題の題材や難易度等をより適正化しようと努力していることをうかがい知ることができた。昨年度同様,中等教育(及びそれに接続する大学初年級)における物理のカリキュラムの問題を軸としつつ,大学・高校間の相互理解と提携が,ますます重要な課題となっていることが,実感させられた。
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