近年の国際調査によると,日本の成人の科学への関心や理解度は14国中下から2番目であった。生涯にわたって科学への興味・関心が持続し発展するような科学教育を目指すことは,今後の日本の理科教育の課題であろう。ここでは,中学校理科の光の単元について,日・英の教科書を比較し問題点の抽出を試みた。日本の場合,物理的な対象としての光を中心に分析的に組み立てているのに対して,イギリスの場合,身近な存在である光を全体的に理解させようとしている。身近な生活の中から科学的関心を引き出し,身近な生活に科学的な知識・理解を役立てようという方向性は,科学への関心や理解を育てる上で効果的だと考えられる。
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