世の中にはデータ解析の結果報告が溢れかえっている。その道の専門家でもない限り,報告内容や統計解析の方法および解釈について批判的吟味をすることなどまずないだろう。結果が正しいものであれば,再現性が得られるはずであるが,追試によって再現性が確認できる割合が領域によっては半分にも満たないという現実がある。 その背景には統計の誤用や誤解釈が往々にしてある。「t 検定により P 値< 0.05 のため統計的に有意」という見慣れたフレーズには実は大きな落とし穴が潜んでいる。数年前には帯付に「Don’t Say“Statistically Significant”」というフレーズがある書籍が日本で刊行されたが,日本の統計リテラシーは大丈夫だろうか。
物理嫌いを減らしたくて出前授業「物理力 UP 特別脳トレ講座」を地元の中学校で実施し始めた。手による積極的触知覚である「アクティブタッチ」を導入しながら 3 年ほど実施し大好評だった。ところがコロナ禍で中断をせざるを得なくなり,この機会に過去 3 年分の結果を分析したので報告する。特に授業の前に事前テストを実施したところ,子どもたちの間違うところが,毎年同じであることが分かった。ここでは生徒たちの間違いやすいところをアクティブタッチを通して改善した教育を提案する。
物理教育に限らないが,男女差については感覚的に語られることが多い。しかしながら,研究として男女差を扱うためには,データに基づいた定量的な扱いが不可欠である。本論では,いくつかのデータに基づきながら,物理教育における男女差を定量的に報告する。
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