日本化粧品技術者会誌
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35 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 荻原 毅
    2001 年 35 巻 3 号 p. 204-210
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    「化粧もち」はメークアップ製品にとって重要な品質の一つである。また「化粧もち」は「化粧仕上がり」に対する持続性の総合的品質として認識され, 官能評価を中心として評価されてきた。ここでは「化粧仕上がり」および「化粧もち」の評価方法として, ファンデーションを例にとり, 官能評価的方法, 光学的方法, そして代用物性値的方法を紹介する。さらに製剤技術, および素材応用の観点から「化粧もち」向上技術を紹介する。
  • Kunio Shimada, Yusaku Takita
    2001 年 35 巻 3 号 p. 211-218
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    It has been elucidated that the copolymer of MPC and the hydrophobic monomer has the following features.
    1) It acts as an antistatic agent on the skin and hair thanks to an excellent moisture retention capability.
    2) Because the adsorption ability to the skin and hair is high due to the presence of a hydrophobic group in the molecule, it acts as a coating medicine. Moreover, poly (MPC-co-BMA) can be easily mixed in various dosage forms with skin and hair cosmetics, because it has good solubility in water. Poly (MPC-co-BMA) is expected to expand the possibility of gentle formulation for skin and hair based on the above-mentioned result.
  • 遠藤 菜穂子, 西島 貴史, 藤村 努, 森脇 繁, 武馬 吉則
    2001 年 35 巻 3 号 p. 219-223
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    従来から, さまざまな方法でたるみの評価はなされてきたが, 微細な変化の定量化が困難であるという問題点があった。そこで今回, 写真スコアによるたるみの評価において, 基準の一つとなっている鼻唇溝の形状を, 70μmの面内精度をもつモアレ3次元解析装置を用いて測定し, 評価する方法を開発した。年齢とたるみスコアの正の相関を確認した10代-60代の健常女性118名を, モアレにより撮影し, 鼻腔直下を水平に切断したときの頬ライン (鼻唇溝の形状曲線) の一次微分曲線を求め, その鼻唇溝部分での最大値を用いてたるみの評価を行う可能性を検討した。その結果, 一次微分曲線の最大値は加齢と共に増加し, たるみスコアとも有意な相関を示したことから, 本法が実際の見た目を反映したたるみの評価方法として有効であることが示された。さらに, 顔面形状の個人差を考慮して, 鼻唇溝の鼻腔側の傾きを基準としたときの最大値 (傾きの変化量) を用いて検討した結果, 年齢, たるみスコアともより高い相関性を示した。以上のことより, 鼻唇溝の形状をモアレ3次元解析装置を用いて測定する本法は, 微細な変化を定量できるたるみの評価方法として有効であることが示された。
  • 岡田 卓弥, 白崎 斉美, 原 匡
    2001 年 35 巻 3 号 p. 224-230
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    従来からヘアリンスの基材にはモノアルキルトリメチルアンモニウム塩 (MAC) やジアルキルジメチルアンモニウム塩 (DAC) が幅広く使用されているが, モノエタノールエステルジエチルモノメチルアンモニウム塩 (MEC) やジエタノールエステルジメチルアンモニウム塩 (DEC) のような生分解性の改善されたカチオン界面活性剤が今後, 新たなヘアリンスの基材として期待できる。そこで, われわれはヘアリンスとしての応用について, MACおよびDAC (アルキル型カチオン: AQ) を比較対照として, MECおよびDEC (エステル型カチオン: EQ) の性能を調べた。カチオン性界面活性剤の結合水量とケラチンパウダーヘの吸着量を測定した結果, 疎水基が同じ数のものどうしで比較するとAQよりもEQの方が多いという結果が得られ, エステル基の関与が示唆された。また, 毛髪に柔らかさを付与する効果はAQの方が大きいことがわかったが, DECはMACと同等の効果を示した。ヘアリンスでの官能評価の結果, EQはヘアリンス基材に応用できる可能性を示した。これらの結果より, EQを使用したヘアリンスは十分に使用可能であると判断され, とくにDECは新たなヘアリンス基材として非常に興味深いものと考える。
  • 鈴木 聡, 太田 豊, 小沢 和夫, 今村 亨
    2001 年 35 巻 3 号 p. 231-236
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    毛成長に影響を与える線維芽細胞増殖因子5 (Fgf-5) 遺伝子からは, FGF-5タンパクのほか, その切断体であるFGF-5Sも作られることが報告されている。われわれはこれまで, FGF-5が皮膚のマクロファージ様細胞に, FGF-5Sが毛包にそれぞれ局在することを明らかにし, またFGF-5陽性細胞は退行期に脂肪層に集まること, FGF-5S産生は成長期後半に上昇することも解明してきた。今回両タンパクが毛周期に与える影響を調べたところ, FGF-5は成長期毛の成長抑制と, 退行期の誘導を行う機能をもっていた。FGF-5Sは単独では機能しないが, FGF-5の退行期誘導活性を阻害した。したがってFGF-5陽性細胞は, 脂肪層においてFGF-5受容体を発現する毛乳頭周辺に集まるため局在変化をし, その結果退行期が誘導される可能性が示唆された。FGF-5Sは, 退行期が始まるまでFGF-5の働きを抑えるため存在するのであろう。われわれの結果は, 両タンパクのバランスに異常が生じたときに脱毛症がおこる可能性と, これらのタンパクを調節することにより有効な育毛剤が開発できる可能性を示している。
  • 井上 敬文, 伊藤 真由美, 木澤 謙司
    2001 年 35 巻 3 号 p. 237-242
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    毛髪から溶出される蛋白質と損傷との関わりを把握することを目的とし, パーマ処理やブリーチ処理で溶出する蛋白質を電気泳動法によって分析した。これらの処理で溶出した蛋白質の電気泳動プロファイルは, いずれも分子量約7kDaの蛋白質を含んでいた。この蛋白質がユビキチンであることをイムノブロット法により確認した。すなわち, パーマ処理やブリーチ処理などでユビキチンが毛髪より溶出し失われることがわかった。さらに, 化学的処理を施されていない毛髪のユビキチン含有量を調べたところ, 先端部分で著しく減少していた。この結果は, ユビキチンの溶出が洗髪など日常のヘアケアの過程においても起きていることを示唆している。
  • 鶴見 淑子, 矢作 彰一, 大林 恵, 岡野 由利, 正木 仁
    2001 年 35 巻 3 号 p. 243-248
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    皮膚の老化をより印象づける, 「しわ」や「たるみ」といった現象は, 種々の真皮マトリックスの構造変化に由来すると考えられている。真皮マトリックスの中でもグリコサミノグリカンは, 膠原線維 (collagen) や弾性線維 (elastin) などの構造基盤を成す成分の間隙を埋めるものであり, 皮膚の水分保持や柔軟性に関わりが深い。今回われわれはこれらグリコサミノグリカンの一種であるヒアルロン酸 (HA) に注目した。線維芽細胞を用いたin vitroの系でHA合成を促進させる植物抽出物の探索を行ったところ, 数種の植物抽出物に有効なHA合成促進効果を認め, その中でもキダチアロエに高い活性を認めた。成分分画を行い活性を追ったところ, 比較的高極性画分に活性が移行することを確認した。また, 分画に伴いその活性は増大した。さらに線維芽細胞にその存在が認められているHA合成酵素 (HAS) のmRNA発現について検討を行い, 分画後のフラクションにHAS 2 mRNA発現量の増加を確認した。
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