日本化粧品技術者会誌
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37 巻, 4 号
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  • 安保 徹
    2003 年 37 巻 4 号 p. 263-268
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    免疫はどのようにして生まれたのであろうか。そして, どのような道筋を通って哺乳動物にあるような高度な免疫システムにたどり着いたのであろうか。このようなことがわかると複雑な免疫システムも容易に理解できるものと期待している。
  • 外尾 恵美, 平井 公徳, 山下 美香, 中林 治郎, 百瀬 重禎
    2003 年 37 巻 4 号 p. 275-281
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    口紅がカップや衣服に付着して起こる「色移り」は, 未だ解決されていない重要な問題であった。そこでわれわれは口紅の色移りを防ぐために, 「口紅オーバーコート」という新しいアイテムを考案した。この具現化にあたり, 口紅塗布膜の表面を撥油性溶媒で覆うと同時に, ゲル化剤で口紅塗布膜をゲル化して物体への付着性を抑えることができれば, 効果の発現が迅速で, 優れた色移り防止効果が得られると考えた。口紅に対する親和性の異なる二つの素材〔SilicaとPF (Polyperfluoromethylisopropylether)〕を選択し, これらを用いて得られた口紅オーバーコートについて, 色移り防止効果の確認とメカニズムの検証を行った。口紅と口紅オーバーコートの塗布膜の界面観察により, SilicaがPF中から口紅塗布膜中へと親和性の差に従って移行している様子を, また粘度測定によりSilicaの移行による口紅のゲル化を確認し, 仮説どおりの現象が実際に起こっていることを確認した。さらにIRピーク強度の経時変化解析により, SilicaだけでなくPFもまた塗布直後速やかに口紅塗布膜中へ移行することが示唆され, この現象によって色移り防止効果がさらに高まり, かつ効果の持続性が向上するものと考えられる。
  • 菅原 享
    2003 年 37 巻 4 号 p. 282-286
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    ネイルエナメルを長期にわたって使用し続けることにより, さまざまな爪のトラブルを引き起こす場合があることが知られている。爪の主なトラブルとしては黄変, 折れ, 二枚爪 (爪甲層状分裂症) 等が挙げられる。そこで, これらのトラブルのうち, 比較的発生率の高い折れおよび二枚爪の抑制に効果的な剤の探索を行った。その結果, 折れおよび二枚爪の抑制にはグリコール酸が効果的であった。
  • 小笠原 和子, 瀧野 嘉延, 北澤 学, 坂本 一民, 岡野 由利, 正木 仁, 安井 裕之, 桜井 弘
    2003 年 37 巻 4 号 p. 287-292
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    一酸化窒素 (NO) は皮膚血流量の調節や血管の弛緩などに重要な役割を果たしていることが知られている。NOは生体内でNO合成酵素 (NOS) の作用によりL-arginine (L-Arg) から合成される。われわれはヒト血管内皮細胞において, (1) L-ピロリドンカルボン酸 (L-PCA) は濃度依存的に, NO産生量を促進する, (2) L-PCAは血管内皮細胞へのL-Argの取り込みを促進する, そして (3) この促進効果はカチオン性アミノ酸トランスポーター (CAT) 阻害剤であるL-NMMAによって抑制されることを見出した。これらの結果にもとついて, L-PCAはCATを介したL-Argの細胞への取り込みを促進することにより, NO生成量を適度に増加させ血流を調節していることがわかった。しかし, これらのNO合成促進およびL-Arg取り込み促進効果はL-PCAにのみ見られ, D-体には見られなかった。さらに, ヒト前腕内側部での閉塞パッチテストにおいても, L-PCAは皮膚の赤み・血流量を一時的に増加させることが認められた。これまでL-PCAは天然保湿因子の主要な成分の一つであることから保湿を目的としたスキンケアに広く用いられてきたが, 血流促進を目的とした用途においても有用であることが明らかとなった。
  • 弾力性セット剤「ポリウレタンディスパージョン」の開発とその特性
    大村 孝之, 志田 智隆, 斉藤 亜由美, 中根 俊彦
    2003 年 37 巻 4 号 p. 293-300
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    昨今, 整髪を容易にし, 髪型を維持するために, さまざまな頭髪用化粧料が開発されており, 整髪力を保持する目的で, セット剤と称される高分子が多種多様に配合されている。従来, セット剤高分子としては, ベタイン型メタクリル酸アルキルエステル共重合体, アクリル樹脂アルカノールアミンなどのアクリル酸系モノマーを用いた素材, あるいは酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体などのビニルピロリドンを用いた素材等が用いられてきた。これらの合成高分子は, 毛髪に塗布後, 水・エタノールなどの溶媒が揮発することで毛髪表面に被膜が形成し, 毛髪の形状を保持している。しかしながら, これらのセット剤では, 塗布直後には強力なセット力は得られるが, 一度力を加えてしまうと, 毛髪表面に形成された被膜が壊れ, 再整髪性には欠けるもので, 現在流行の自然な風合いを楽しむ「ナチュラルスタイル」の若年層男女に対して, 必ずしも満足を得られているとは言い難い。市場においては, しっかりと固めずにセットでき, 自然なハリ感を演出でき, しかも持続性に優れるセット剤の開発が望まれている。そこで, 上記目的に適うセット剤高分子の探索を行った結果, 素材としては, 一般に弾力性のあるものとして知られるウレタンに着目し, 最適モノマー種および組成の選定を行い, 上記の特性を満足するものとして, 新規弾力性セット剤「ポリウレタンディスパージョン」を見出した。
  • 宮沢 和之, 金田 勇, 飯塚 直美, 梁木 利男, 植村 雅明
    2003 年 37 巻 4 号 p. 301-308
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    毛髪にハリコシを付与する方法として毛髪自体の育成を助ける生物学的アプローチと, 外部からある基剤を塗布して補強する物理的アプローチが考えられる。前者は軟毛の悩みを根本的に解決できる可能性があるが, 効果が得られるまでに長期間を要する, 効果に個人差がある, などの課題がある。一方, 後者は即効性はあるものの通常洗髪などにより効果が失われるなど, 持続性に乏しいため毎日の適用が必要となる。そこで即効性に優れ, しかもその効果が長期的に持続するハリコシ向上トリートメントの開発を目的として検討を行った。本基剤に求められる基本的条件として, 1. 優れた耐水性, 2. 1本1本の毛髪を独立してコートできること, の2点が挙げられる。そこで耐水性の付与を目的としてアルコキシシランの縮合反応によるネットワーク形成を利用し, 極性をコントロールすることで毛髪への付着性を向上させ, 1本ずつの毛髪を均一な皮膜でコーティング可能な基剤とした。さらに毛髪上に形成される皮膜の強度, 平滑性を検討し, 優れたハリコシ付与効果と良好な使用性を併せ持つへアトリートメントとすることに成功した。
  • 影島 一己, 坂本 晴美, 清水 敏之
    2003 年 37 巻 4 号 p. 309-314
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    化粧品分野における界面活性剤として, カルボキシル変性シリコーンの利用を検討した。実験にはトリエタノールアミンを用いて中和したカルボキシル変性シリコーンを用いた。低分子量のジメチルポリシロキサンを用いて乳化を試みた結果, カルボキシル変性シリコーンのカルボキシル当量を変えることにより, O/W型, W/O型のいずれのエマルションも調製が可能であった。高当量カルボキシル変性シリコーンを用いて調製したエマルションでは, 高内水相W/O型エマルションの形成が確認された。一方, 低当量カルボキシル変性シリコーンのトリエタノールアミン塩水溶液は, コラーゲンシート上のデカメチルシクロペンタシロキサンのスポットに対して良好な洗浄力を示した。これらの結果は, 将来的にはカルボキシル変性シリコーンが化粧品分野における洗浄剤および乳化剤として利用できることを示唆している。
  • 赤塚 秀貴, 菅 千帆子
    2003 年 37 巻 4 号 p. 315-321
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    下肢部のムクミは, 女性にとって美容上大きな悩みの一つとなっている。近年, その悩みを解消する手段として, エステサロン等におけるマッサージが有用だと言われている。本報ではムクミ改善のためのセルフマッサージをより効果的にする手段を探索し, 化粧品剤型への展開を検討した。下肢部のムクミに関して自覚症状のあった健常女性10名で, ムクミを水置換法により評価したところ, 夕方にかけて2.5%の体積増加を示した。これら被験者で5分間のセルフマッサージ後に6分間の温冷処置を施した結果, 2.5%の体積減少を示したことから, この方法はムクミ改善に有効な手段であることがわかった。このような温冷処置を化粧品にて再現することを試みたところ, 従来のジェル剤型に液化石油ガス (LPG) を高濃度配合したクラッキングフォーム剤型は, 従来品よりもムクミ改善効果が高かった。
  • 櫻井 和俊
    2003 年 37 巻 4 号 p. 323-330
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
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