昨今, 整髪を容易にし, 髪型を維持するために, さまざまな頭髪用化粧料が開発されており, 整髪力を保持する目的で, セット剤と称される高分子が多種多様に配合されている。従来, セット剤高分子としては, ベタイン型メタクリル酸アルキルエステル共重合体, アクリル樹脂アルカノールアミンなどのアクリル酸系モノマーを用いた素材, あるいは酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体などのビニルピロリドンを用いた素材等が用いられてきた。これらの合成高分子は, 毛髪に塗布後, 水・エタノールなどの溶媒が揮発することで毛髪表面に被膜が形成し, 毛髪の形状を保持している。しかしながら, これらのセット剤では, 塗布直後には強力なセット力は得られるが, 一度力を加えてしまうと, 毛髪表面に形成された被膜が壊れ, 再整髪性には欠けるもので, 現在流行の自然な風合いを楽しむ「ナチュラルスタイル」の若年層男女に対して, 必ずしも満足を得られているとは言い難い。市場においては, しっかりと固めずにセットでき, 自然なハリ感を演出でき, しかも持続性に優れるセット剤の開発が望まれている。そこで, 上記目的に適うセット剤高分子の探索を行った結果, 素材としては, 一般に弾力性のあるものとして知られるウレタンに着目し, 最適モノマー種および組成の選定を行い, 上記の特性を満足するものとして, 新規弾力性セット剤「ポリウレタンディスパージョン」を見出した。
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