デキストリン脂肪酸エステルはエマルションの安定化剤やオルガノゲルのゲル化剤として使われている。しかしながら,デキストリン脂肪酸エステルのゲル形成機構についてはあまり知られていない。本研究は,レオロジー測定,DSC測定,TEM観察ならびにシンクロトロン放射光を使った小角散乱実験を行い,オルガノゲル特性について検討した。ここでは流動パラフィンにパルミチン酸デキストリン(DP)を1~30重量%濃度で検討した。DPは5重量%でゲル化した。レオロジー測定の結果から,Cox-Merzの経験則に従わず,一般的なポリマー溶液のようなネットワーク構造を示さないことが示唆された。TEMによる観察から1 μm以下のコロイド粒子であることがわかった。次に,小角散乱実験から,ゾル,ゲル状態に関係なくラメラ周期が存在することがわかった。そこで,せん断をかけながら小角散乱同時測定をした結果,100 s
-1の条件下で極小角領域では散乱パターンに子午線方向に異方性がみられたが,小角領域ではラメラ周期の散乱パターンに変化はみられなかった。これらの結果から,オルガノゲルはラメラ周期を有するシート構造であることがわかった。
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