高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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33 巻 , 1 号
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会長講演
  • 藤田 郁代
    2013 年 33 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2013/03/31
    公開日: 2014/04/02
    ジャーナル フリー
       統語機能は非常に複雑な機能であり, その障害は多様な現れ方をする。統語機能の神経学的基盤を解明するには単純な局在論を超えたアプローチが必要と考えられる。本稿では統語障害のうち表出面の問題である失文法を取り上げ, 近年の研究の動向を解説した。次に自験例を用いて日本語の表出面における統語障害を分析し, その特徴と発現メカニズムについて検討した。その結果, 統語障害には複数のパタンがあり, これには動詞, 動詞の項構造, 統語構造, 格助詞, 助動詞の処理が関係すると考えられた。病変部位との関係については統語構造の構成障害には左前頭葉下部の病変が関与し, 格助詞と動詞の障害には左側頭葉病変も関与する可能性が示された。統語機能は単一の脳部位のみに依存するのではなく, 複数の脳部位からなる神経ネットワークの協調作用に支えられていると考えられる。
原著
  • 依光 美幸, 塚田 賢信, 渡邉 康子, 山田 良治
    2013 年 33 巻 1 号 p. 12-19
    発行日: 2013/03/31
    公開日: 2014/04/02
    ジャーナル フリー
       立方体透視図模写は臨床的評価としてよく用いられているが, その判定基準は定性的で主観的なものが多い。そのため, 本研究では定量化する採点法を作成し, その信頼性と妥当性を検討することを目的とした。採点法作成では, まず当院脳外科入院患者が描画した立方体透視図形を形態の類似性に基づき7 群に類型化し, 各群の特徴と先行研究の採点基準を踏まえ, 全10 項目を抽出し, 各項目1 点で10 点を最高得点として信頼性を検討した。また, 妥当性の検討にはRCPM, MMSE, WAIS-III との相関をみた。その結果, 高い信頼性係数が得られ(α=0.91) , 当採点法で得られた立方体透視図模写得点とRCPM, WAIS-Ⅲの動作性IQ との間に正の相関がみられた。またWAIS-Ⅲの符号, 絵画完成, 積木との間にも有意な正の相関が得られた。このことから, 本採点法は簡便でかつ信頼性, 妥当性を有していると考えられた。
  • 宮崎 泰広, 種村 純, 伊藤 絵里子
    2013 年 33 巻 1 号 p. 20-27
    発行日: 2013/03/31
    公開日: 2014/04/02
    ジャーナル フリー
       新造語を呈した失語症者の呼称課題における反応を分析し, 新造語の出現機序について検討した。初回評価時の呼称課題にて, 新造語がその他の発話症状に比べもっとも多く出現した失語症 10 例を対象とした。初回評価時と発症1 ヵ月後の再評価時における呼称課題の反応を継時的に分析した。その結果は, 新造語の減少に伴い, 音韻性錯語の出現が増加した者は3 例, 無関連性錯語の出現が増加した者は3 例, 意味性錯語の出現が増加した者は2 例, 音韻性錯語と語性錯語の出現がともに増加した者は2 例であった。新造語の減少に伴い他の錯語が増加し, 症例により経過的に種々の錯語タイプに分かれた。これは言語処理の障害過程を反映している可能性を示し, 新造語は音韻レベル, 意味・語彙レベル, その複合的な障害により生じることが示唆された。
  • 黒崎 芳子, 寺澤 悠理, 梅田 聡
    2013 年 33 巻 1 号 p. 28-36
    発行日: 2013/03/31
    公開日: 2014/04/02
    ジャーナル フリー
       予期的時間評価は, 現在進行する時間経過に対する認知である。これまで, 時間評価の障害が, しばしば前頭葉や側頭葉の損傷と関連することが指摘されている。本研究では, 予期的時間評価における前頭葉の関与や時間評価と注意, ワーキングメモリ, およびエピソード記憶の関係について調べた。脳損傷者と健常者の参加者は3 条件(無課題, 数字の音読, 筆算) において, 60 秒の時間産生を行った。この結果, 参加者は並列課題の認知的処理の負荷が高い場合に, 産生時間が長くなる傾向が示され, とくに前頭葉限局損傷患者では, 健常者に比べ顕著に産生時間が長くなった。 また, 予期的時間評価への注意やワーキングメモリの関与が示されたが, エピソード記憶の関与はみられなかった。これらの結果は, 前頭葉が予期的時間評価に関与すること, ワーキングメモリと関連した注意の配分処理が予期的な時間評価に影響することを示唆する。 予期的時間評価は, 現在進行する時間経過に対する認知である。これまで, 時間評価の障害が, しばしば前頭葉や側頭葉の損傷と関連することが指摘されている。本研究では, 予期的時間評価における前頭葉の関与や時間評価と注意, ワーキングメモリ, およびエピソード記憶の関係について調べた。脳損傷者と健常者の参加者は3 条件(無課題, 数字の音読, 筆算) において, 60 秒の時間産生を行った。この結果, 参加者は並列課題の認知的処理の負荷が高い場合に, 産生時間が長くなる傾向が示され, とくに前頭葉限局損傷患者では, 健常者に比べ顕著に産生時間が長くなった。また, 予期的時間評価への注意やワーキングメモリの関与が示されたが, エピソード記憶の関与はみられなかった。これらの結果は, 前頭葉が予期的時間評価に関与すること, ワーキングメモリと関連した注意の配分処理が予期的な時間評価に影響することを示唆する。
  • 種村 純, 椿原 彰夫, 植谷 利英, 中島 八十一
    2013 年 33 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2013/03/31
    公開日: 2014/04/02
    ジャーナル フリー
       失語症者に対する社会的支援の実態を明らかにするために, 障害者福祉施設の失語症者の利用状況を調査した。失語症者が利用しているサービスは通所介護, 通所リハビリテーション, 介護老人保健施設など介護保険サービスが多い。一方で障害者福祉サービスも利用しており, 就労継続支援(B 型) がもっとも多く, ついで自立訓練(機能訓練) , 自立訓練(生活訓練) , 生活介護の順であった。施設の種類によって利用者層は異なっており, 就労支援・自立訓練施設の利用者は比較的若年で, 発症後の経過が短く, 重症度は中度であった。一方, 地域活動支援センター利用者は高齢, 経過が長く, 重度であった。
第36 回日本高次脳機能障害学会 (旧日本失語症学会) 学術総会講演抄録 一般演題
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