高次機能の中枢としてヒトで最も発達した前頭連合野は, 外側部, 内側部, 腹側 (眼窩) 部に区分される。外側部は行動の認知・実行制御, 内側部は心の理論・社会行動, 腹側部は行動の情動・動機づけ制御, に重要な役割を果たす。また前頭連合野内でより前方の部位はより抽象的かつ高次な情報処理を担う。前頭連合野の腹内側部 (内側部と腹側部の前部) は, 情動・動機づけに基づく意思決定に関わる。前頭連合野の最前部 (前頭極) の特に外側部はヒトに特有な脳部位であり, 複雑, 抽象的な認知操作に重要な役割を果たす。サルを用いた私たちの研究において, (1) 競争における勝ち負けを捉えるような社会行動に関係する前頭連合野ニューロンがあること, (2) PET で調べると, 前頭連合野内側部において, 安静時に活動性が増すこと, (3) 前頭連合野ドーパミンは認知課題遂行中に比して安静時に前頭連合野外側部では減少し, 内側部では増加すること, が示された。
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