高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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24 巻 , 1 号
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原著
  • 毛利 春枝, 天谷 智子, 塚原 佳子, 三宅 裕子
    2004 年 24 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/03/02
    ジャーナル フリー
    臨床的に小字症を呈する6例に対して同一の検査課題を行い,比較検討し特徴を分析するとともに,訓練の手がかりとなる外的刺激 (cue) の有効性について調べた。結果,外的刺激はとくに視覚的 cue が有効であったが,外的刺激への反応や汎化に関しては一様ではなく,その違いは小字症の質的差異を反映していると思われた。
       6例の中で,小字症の発現機序を考えていくうえで,特徴のあった3症例,1) 右半球病巣で右手に小字症を呈した1例,2) 両手に小字症を呈した1例,3) 文字と連続図形に顕著な差があり,小字症状が文字に選択的に出現した1例,について取り上げて記述した。これらの症例から,書字の調整機構が右半球に存在し,右手に機能する例のあることや,書字動作のパターンが両手ともに形成されうる可能性と,図形や他の運動制御とは別の書字運動に関与する調整機構の独立性が考えられた。
  • 小島 真奈美, 藤田 郁代, 高岡 徹
    2004 年 24 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/03/02
    ジャーナル フリー
    左被殻出血により軽度失語症および数の桁処理に顕著な障害を呈した症例を経験し, その障害特徴および発現機序について数処理過程におけるコード変換機能の観点から検討した。本例では, アラビア数字形式と, 数の日本語形式とのコード変換課題において, 桁がずれる誤りが頻繁にみられ, 個々の数字の処理との間に乖離を示したことから, 数の統語処理的側面が障害を受けた例と思われた。数の両形式間の変換処理には, 双方向ともに桁という空間的表象への定位が必要であり, 本症例の数の統語処理障害には, 内的な空間的表象の操作機能の低下が関係していると考えられた。
  • 渡辺 真澄, 筧 一彦, 種村 純
    2004 年 24 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/03/02
    ジャーナル フリー
    仮名1文字の音読は可能だが,文中の助詞を読み誤り,探索を行う非流暢型小児失語1例に, 単語, 句, 文の音読検査を行った。仮名単語では頻度効果と同音疑似語効果が現れ, 読み誤りは視覚性錯読が優勢であった。仮名非語の音読は不可能で語彙性効果が見られた。名詞句の音読では, 誤った用法の助詞を正しくして読む傾向があった。漢字語を含む文の音読では, 名詞が助詞, 述語より成績が良好な, 品詞効果が現れた。これらの現象は軽度の深層失読か音韻性失読に相当し, 音韻の障害により生じたと考えられる。誤読時や探索時に現れる助詞の発話回数と出現頻度 (NTTデータベース) には正の相関があり, 高頻度のものほど多く現れる傾向があった。これは, より高頻度の助詞ほど音韻表象が効率よく活性化されるためと解釈できる。
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