びまん性軸索損傷 (DAI) を伴う外傷性脳損傷 (TBI) では, 従来の画像診断での異常が不明確になり, 客観的診断をすることが難しい。一方で, 多くの症例で認知機能の低下が認められ, 社会的, 経済的な支援が必要になることも多い。TBI における神経異常の客観的評価は, これらの患者の社会的, 経済的支援を促進する観点からだけでなく, 根底にある病理を理解するために重要である。123I-イオマゼニル SPECT (123I-IMZ SPECT) は, ベンゾジアゼピン結合によって神経活性を評価することができる。我々は, 123I-IMZ SPECT および MRI を使用して DAI を伴う TBI の症例における神経損傷の分布および程度を明らかにすることを目的とした多施設共同研究を行ってきた。その結果, TBI の患者では, 内側前頭/ 眼窩前頭皮質, 後部帯状回, 楔部, 楔前部, および小脳上部で 123I-IMZ の結合の低下が検出された。帯状回, 前頭葉, 頭頂葉, 後頭葉の内側領域, および小脳の上部領域における 123I-IMZ 結合低下によって高い診断精度で TBI の診断ができることが示された。
抄録全体を表示