高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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25 巻 , 3 号
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教育講演
  • 田中 春美
    2005 年 25 巻 3 号 p. 207-214
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/03/01
    ジャーナル フリー
    みずからの経験をもとに, 日本高次脳機能障害学会会員の言語聴覚士と学会へいくつかの提言をした。
    言語聴覚士へ : (1) 経験年数が同じくらいの仲間と症例検討を行う, (2) ありのままの症状を検討する, (3) 自分たち自身で考え工夫して専門性を高める, (4) 学会で良い発表や良い質問をして, 学会の発展に寄与する。
    学会へ : (1) 高次脳機能障害を対象とする専門家の認定をしてほしい, (2) 医師も興味を持つ内容の講習会を開催してほしい, (3) 学会総会での発表会場を減らして2つにしてほしい。
  • 渡辺 英寿, 室田 由美子, 中島 千鶴
    2005 年 25 巻 3 号 p. 215-223
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/03/01
    ジャーナル フリー
    失語症の回復過程を支える脳内機序には古くから多くの議論がある。劣位側も含めた広い脳部位が統合的に言語再獲得に参加しているであろうという見識は広く認められている。われわれは近赤外線光トポグラフィーを用いて, 回復過程にある症例の言語活動を機能マッピングした。17例の脳卒中後の失語で, 回復期にある症例に対して, 光トポ計測下に語想起課題を行わせて, 脳活動を計測した。結果は, 大別して(1) 優位言語野で正常な反応, (2) 優位言語野でも異常な反応, (3) 劣位半球の活動, の3つのパターンがあることが認められた。さらに経時的追跡計測によりこの3つのパターンは時期や症例によりさまざまに変化してゆくことが観察された。とくに劣位半球が言語活動を示す場合が約30%に認められ, 時期により次第に優位側に推移していくことも認められた。リハビリテーションの方法もこれらの活動パターンに応じて変化させてゆくことが必要である可能性を検討したい。
原著
  • 宮崎 泰広, 種村 純
    2005 年 25 巻 3 号 p. 224-232
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/03/01
    ジャーナル フリー
    失語症者7名を対象に, 構成語彙の類似性が異なる3種類のリストを用いて呼称課題を施行した。その各種類における課題の正答率, 誤反応の出現について分析した。その3種類のリストは呼称課題の目標語となる絵カードを無作為に抽出した「無作為リスト」, 意味的・音韻的に類似した語を選択的に抽出した「同範疇リスト」, 「同語頭音リスト」である。結果は同範疇リスト, 同語頭音リストともに, 無作為リストより正答率が低く, 誤反応では保続出現率が高かった。さらに他の誤反応出現率では, 無作為リストに比べて同範疇リストにおいて有意に意味性錯語が高く, 無関連性錯語が低かった。また無作為リストと比べて同語頭音リストにおいて有意に音韻性錯語, 無関連性錯語, 新造語が低く, 迂言が高かった。以上より, 呼称課題系列における構成語彙間の類似性を変化させることにより正答率と誤反応の出現率に影響を与えることが示唆された。
  • 鈴木 敦命, 星野 崇宏, 河村 満
    2005 年 25 巻 3 号 p. 233-241
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/03/01
    ジャーナル フリー
    表情認識は社会的コミュニケーションの基礎となる能力であり, 近年, その加齢変化が関心を集めている。先行研究は, 基本情動を表す典型的な表情の顔写真を用いた検査を行い, 加齢の影響が基本情動ごとに異なることを示唆している。しかし, 典型的な表情は基本情動ごとに認識の困難度が大きく異なるため, 高齢者の表情認識の特徴を誤って捉えている可能性がある。本研究の目的は, モーフィングと項目反応理論を併用することで困難度を調整した検査法を用い, 高齢者の表情認識を正確に捉えることであった。高齢者と若年者の表情認識を比較した結果, 高齢者では喜びの表情認識の上昇が観測された一方, 喜び以外の基本情動, とくに怒りの表情認識の低下が観測された。以上の結果は, 喜びと喜び以外の基本情動との間で表情認識に対する加齢の影響が異なる可能性を示唆している。こうした加齢変化の背景機序について, 神経学的観点および社会発達的観点から考察した。
  • 福永 篤志, 大平 貴之, 加藤 元一郎, 鹿島 晴雄, 河瀬 斌
    2005 年 25 巻 3 号 p. 242-250
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/03/01
    ジャーナル フリー
    後出し負けじゃんけんの「負けよう」とする認知的葛藤の脳基盤はいまだ明確ではない。今回われわれは, 右利き健常人9名に対し, 後出しじゃんけん (負けまたはあいこ) 負荷時に3テスラfMRIを撮像し, 安静時と比べて有意に検出されたBOLDシグナルの分布について検討した。結果は, 負け・あいこじゃんけんともに, 前頭葉, 後頭側頭野, 感覚運動野, 小脳半球, 補足運動野 (SMA) 等に有意なBOLDシグナルが検出された (corrected p<0.05)。また, 左手負けじゃんけんでは左SMAが, 左手あいこじゃんけんでは右SMAがそれぞれ強く賦活され, 右手負けじゃんけんでも左SMAの反応が強かった。以上の結果から, 左SMAがステレオタイプな動作を抑制する機能や葛藤条件の監視に関与していることが示唆された。
  • 高原 世津子, 野間 俊一, 種村 留美, 上床 輝久, 種村 純
    2005 年 25 巻 3 号 p. 251-258
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/03/01
    ジャーナル フリー
    欧米で広く推奨されている学習方法であるPQRST法は, Preview, Question, Read, Self-Recitation, Testからなり, 他の記憶ストラテジーに比べ有効であることが示されている。今回われわれは, 両側側頭葉前下部, 前頭葉眼窩面に広範な脳内出血を認め, 受傷後7ヵ月半を経過した健忘症患者にPQRST法を用いた記憶訓練を施行し, 良好な結果を得たので報告する。PQRST法は本来言語的手がかりを使用するが, 今回は, 症例に相対的に残存していた視覚性記憶もあわせて利用した。PQRST法は記憶障害患者に深い情報処理を促し, 文章の理解と保持を促進したことが示唆された。また, Baddeleyらによってその有効性が確認されている, 誤りなし学習法についても検討し, それが追認された。また, 学習時にのみ示していた軽度保続に対しても, 誤りなし学習が有効であることが示唆された。約2ヵ月の治療的介入の結果, 検査成績の向上とともに, 実際の生活場面においてもエピソード記憶が改善し, 症例は社会復帰を果たした。
  • 福井 俊哉
    2005 年 25 巻 3 号 p. 259-267
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/03/01
    ジャーナル フリー
    皮質基底核変性症 (CBD) は多彩な前頭葉・認知症状を呈するが, 運動症状との関連については十分に解明されていない。今回, 平均3年の経過中に診断基準を満たしたCBD14例における運動障害優位側と前頭葉・認知症状の関連を明らかにすることを目的とした。
    運動障害は右優位が多かった (右優位11例, 左優位3例)。両群ともに初発症状として一側肢の使いにくさ, 易転倒性・歩行障害が多かった。CBDに特徴的な症状 (ミオクローヌスなど) と前頭葉症状は左優位例に多く, 遅発する傾向があった。認知症状にて初発したものは右優位例のみであったが, 累積的には左優位例でも同率にみられた。失書は右優位例に特異的であり, 当症状で初発する場合もあった。失行は右優位例に多く遅発する傾向があった。
    右優位例では表出言語障害や書字障害を発症時から呈することが多く, 前頭葉症状は左優位例に多く遅発性で, 初発症状になることは少ない。
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