高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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35 巻, 1 号
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原著
  • ―優位半球背外側前頭前野に注意機能関連領域を認めた一例―
    松井 泰行, 前澤 聡, 二村 美也子, 飛永 真希, 藤井 正純
    2015 年 35 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2015/03/31
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
      覚醒下開頭術における高次脳機能のマッピングの試みを報告する。症例は左下前頭回腫瘍症例。術前明らかな言語症状なく数字の順唱6 桁・逆唱5 桁が可能であったが, 術中逆唱は困難であった。術中, 背外側前頭前野 (DLPFC) の一部を刺激した際, 物品呼称は正常であったが, 4 桁の順唱が不可能となった。さらに色ストループ課題でも刺激により正答不能となった。同部位を温存しつつ腫瘍摘出し術後悪化はなかった。DLPFC は, 注意機能/ 作業記憶中央実行系の機能を担うとされる。逆唱やn-back 課題は覚醒下開頭術という特殊な環境では負荷が高すぎて安定しないが, 本症例では中央実行系の従属システムの一つである音韻性ループに関与する順唱課題と, 注意制御に関与するストループ課題を用い, 両者で陽性所見を観察した。本結果はDLPFC における注意機能の関与を支持し覚醒下開頭術における高次脳機能評価の可能性を示唆すると考えられた。
  • ─発症から1 年後の介入について
    浦上 裕子, 山本 正浩
    2015 年 35 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 2015/03/31
    公開日: 2016/04/01
    ジャーナル フリー
    高次脳機能障害の就労を目標としたリハビリテーション (以下リハ) における1 年後の現状と問題点を, 発症から 1 年後の帰結, 神経心理学的検査, 就労準備性, 3 年後の帰結から分析する。当院でリハを行った高次脳機能障害者 100 名の発症から 1 年後の帰結は就労・復学 35.0%, 就労にむけた訓練34.0%, 福祉的就労 (作業所) 5.0%, 在宅生活 15.0%, 施設11.0%であった。リハ開始時には, 1 年後の就労・復学群のほうが, 就労にむけた訓練群よりWAIS-III の「処理速度」, RBMT の標準プロフィル点, TMT A, B の点数が有意に高く, 就労にむけた訓練群は, 就労準備項目に多くの支援を必要とした。1 年後の就労・復学群の 70.0%が3 年後も就労継続し, 就労にむけた訓練群は病院外来訓練や生活訓練を継続し 3 年後にはそのうち 67.6%が就労, 全体の就労率は 51.0%となった。発症から1 年後は就労継続または医学的リハから福祉機関へ訓練移行する時期であり, この時期の就労準備訓練が 3 年後の就労を促進する可能性がある。
第38回 日本高次脳機能障害学会学術総会講演抄録 一般演題
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