高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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31 巻 , 2 号
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特別講演
  • Joel Scholten
    2011 年 31 巻 2 号 p. 135-140
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/07/01
    ジャーナル フリー
        There has been significant emphasis on the topic of Traumatic Brain Injury (TBI) for returning US Service Members from the wars in Iraq and Afghanistan due to the high frequency of exposure to blast explosions. TBI has been called the “signature wound” of these conflicts and there is considerable debate on the prevalence of TBI, as well as the contribution of TBI to current symptoms that former Active Duty Service Members are experiencing after returning from deployment. TBI is graded in severity based on duration of alteration or loss of consciousness, duration of post-traumatic amnesia, and Glasgow Coma Scale score.
        The Veterans Affairs TBI Screening and Evaluation process was initiated to identify those individuals with possible TBI and then confirm the diagnosis by an in-person examination by a clinician with TBI expertise. The efforts of the VA to identify and care for Veterans with TBI will be discussed as well as the challenges of diagnosis and treatment of mild TBI and the frequently occurring co-morbidities of pain, PTSD, and other mental health issues. The VA/DoD Clinical Practice Guidelines for the treatment and management of mild TBI/Concussion provide recommendations for treatment and will be briefly reviewed. Veterans with a history of mild TBI and persistent symptoms are being identified by the VA which provides an additional opportunity to provide needed services for this patient cohort.
        This article is an overview of the lecture presented as the Special Guest Speaker at the 34th Annual Conference of the Japan Higher Order Brain Dysfunction Society.
Japan-US Conference : 日米における高次脳機能障害者支援の現状
  • 深津 玲子
    2011 年 31 巻 2 号 p. 141-142
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/07/01
    ジャーナル フリー
  • 蜂須賀 研二, 加藤 徳明, 岩永 勝, 岡崎 哲也
    2011 年 31 巻 2 号 p. 143-150
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/07/01
    ジャーナル フリー
    高次脳機能障害支援事業を実施するにあたり,疾患特有のリハビリテーション (以下,リハ) 医療や専門的社会支援を必要とする高次脳機能障害の患者数を明らかにする必要がある。そのため福岡県内の回復期リハ病院等に,研究班診断基準を満たす中等度障害の高次脳機能障害患者で,2007 年 6 月 1 日から 2008 年 5 月 31 日の 1 年間に発症し,年齢が 6~69 歳である福岡県民を web 上で登録するように依頼した。福岡県内では 114 人の高次脳機能障害の発症があった。福岡県の人口は 506 万人なので 1 年間に人口 10 万人につき 2.3 人,我国の人口は 12,800 万人なので 2,884 人の新規発症があると推定した。
  • 田谷 勝夫
    2011 年 31 巻 2 号 p. 151-156
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/07/01
    ジャーナル フリー
    まずはじめに,わが国における高次脳機能障害者支援に関する施策の動向および雇用対策の展開について概観した。次に,全国の主要なリハ医療機関 ( 592 ヵ所) を対象とした実態調査により,医療機関における高次脳機能障害者の就労支援の現状を明らかにするとともに,全国の地域障害者職業センター ( 52 ヵ所) を対象とした実態調査により,就労支援機関における高次脳機能障害者の就労支援の現状を明らかにした。その上で,医療機関と就労支援機関の連携支援の問題点を整理し,今後の高次脳機能障害者支援のあり方について提言した。
  • 三村 將
    2011 年 31 巻 2 号 p. 157-163
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/07/01
    ジャーナル フリー
    高次脳機能障害をもつ者は運転に関して,認知症のような絶対的欠格事由ではない。しかし,認知機能のどの領域がどの程度保たれていれば運転適性とみなされるかの基準があいまいである。高次脳機能障害者の運転能力を評価する方法としては,実車による路上評価,運転シミュレータ等によるオフロード評価,机上の神経心理学的検査,家族等同乗者による評価が挙げられる。このうち,一応のゴールドスタンダードとみなされるのは実車による路上運転評価であり,今後,医療機関と自動車教習所などとの連携により,高次脳機能障害者の路上運転評価を系統的に進めていくシステム作りが急務である。本稿では,我々が行っている高次脳機能障害者の運転評価の状況について,症例をあげて概説した。高次脳機能障害者の自動車運転については,さまざまな分野の専門家がそれぞれの立場から意見を出し合い,最良の方策を検討していくべき問題である。
  • Mayer Max
    2011 年 31 巻 2 号 p. 164-170
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/07/01
    ジャーナル フリー
    Returning US Service Members from the wars in Iraq and Afghanistan have experienced an extremely high number of injuries, often blast-related which include Traumatic Brain Injury (TBI), Post Traumatic Stress Disorder (PTSD), and chronic pain. Additionally among these potential hundreds of thousands of Service Members with TBI, the majority experience mild Traumatic Brain Injury (mTBI) and are capable of a return to university studies and lifelong careers. The MindKnit Research Center is developing partnerships for sharing interdisciplinary research, integrated healthcare and university reintegration, models to recruit and train mentors, such as from the national Volunteer Portal under the White House with over 220,000 volunteers. Additionally, the Japan NRCD has partnered together with MindKnit Research Center and the US Veterans Health Affairs to build and sustain a vibrant “US-Japan Exchange” to share US and Japanese research, clinical, rehabilitation, reintegration and cultural models and national healthcare models to benefit both the hundreds of thousands of Service Members with TBI, but also the hundreds of thousands of persons with Brain Injury in Japan, and the 1.7 million persons with Brain Injury in the United States. Finally, this paper addresses a national Veterans Affairs healthcare study to build a nationwide model for Supported Education systems partnering the VA healthcare, university faculty and leaders, and potentially community experts such as the MindKnit Research Center and the White House Volunteer Portal-to provide successful reintegration to university for the hundreds of thousands of capable Service Member with TBI. This paper was presented as the US Co-Moderator of the Japan-US Exchange at the 34th Annual Conference of the Japan Higher Brain Disorder Society.
  • Joel Scholten
    2011 年 31 巻 2 号 p. 171-175
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/07/01
    ジャーナル フリー
    Providing excellent medical care and support for returning Active Duty Service Members from the conflicts in Iraq and Afghanistan remains a high priority for the Department of Defense (DoD) and the Department of Veterans Affairs (VA). Current literature reports a high frequency of multiple co-morbid conditions including traumatic brain injury (TBI), post traumatic stress disorder (PTSD), and chronic pain. Symptoms from these three conditions can become barriers to successful return to work and school. Common symptoms will be reviewed with discussion on rehabilitative efforts to overcome these barriers. Ideal management of this re-integration is best handled in an interdisciplinary manner by an experienced rehabilitation team. This article reviews the presentation “TBI and Polytrauma : Challenges Associated with Community Reintegration” presented at the 34th Annual Congress of the Japan Higher Order Brain Dysfunction Society as part of the Japan-US Exchange.
教育講演 1 : 失語―口頭表出面
教育講演 2 : 失語―聴覚入力面
  • 小嶋 知幸
    2011 年 31 巻 2 号 p. 181-190
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/07/01
    ジャーナル フリー
        聴覚的言語理解について俯瞰した。聴覚的言語理解は,意味がコードされた音 (すなわち音声) の聴取にはじまり,音にコードされた意味の解読に至るプロセスである。認知神経心理学的観点からみると,(1) 自然界から脳内への音声の取り込み (音響処理) ,(2) 音声のカテゴリー化と音韻照合 (音韻処理) ,(3) 語彙/語義処理,(4) 構文解析,(5) 談話分析の 5 段階に分けて考えることが可能である。本稿では,それぞれの処理過程について,認知神経心理学的メカニズムおよび,脳内基盤について述べた。
        また,認知神経心理学的観点から言語情報処理について考える際,音節言語である英語向けに考案されたロゴジェンモデルをそのまま日本語に適用すると,いくつかの「ずれ」が生じることを指摘するとともに,モーラ言語としての特性を考慮した日本語固有のロゴジェンモデルを提案した。
教育講演 3 : 失語―読字面
  • 水田 秀子
    2011 年 31 巻 2 号 p. 191-197
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/07/01
    ジャーナル フリー
    失語症における読みについて,まず簡単に認知神経心理学によるモデルを紹介し,日本語の文字 (漢字仮名) の特質を述べた。呼称と音読の類似点と相違点を述べ,また GPC の障害が音韻障害とは区別されるべきであることを指摘した。さらに,失語症訓練について,失語症の改善をめざす読みからのアプローチとして,漢字を媒体として意味と,仮名を介して音 (語彙音韻表象) へと結び付けることにより,文字・意味・音韻の表象を連合し「語彙」を成立させることの意義を述べ,仮名を積極的に導入することを提案した。また theory-based practice へ向けて,仮名を用いた聴理解や発話の訓練を紹介した。
教育講演 4 : 失語―書字面
  • 佐藤 睦子
    2011 年 31 巻 2 号 p. 198-204
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/07/01
    ジャーナル フリー
    文字の読み書き機能は口頭言語の獲得と密接に関わっている。そのため,「聴く」・「話す」・「読む」・「書く」のすべての言語様式が何らかの機能低下をきたす失語症の場合,書字の症状には書字機能自体の問題のみならず語想起障害など他の言語様式の困難さが反映されることが少なくない。書字の脳内機構を論じた大槻 (2006) によれば,書字達成には左中前頭回,左頭頂葉 (上頭頂小葉,角回) ,左側頭葉後下部がさまざまなレベルで関与している。これらの領域は失語症をもたらす Broca 野や Wernicke 野に隣接していることから,失語症例で書字障害をきたすのは必然である。本論では,失語症におけるさまざまな書字障害の実例を提示した。
原著
  • 西田 香利, 山本 理恵, 仲村 美幸, 齋藤 誠司, 今村 徹
    2011 年 31 巻 2 号 p. 205-211
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/07/01
    ジャーナル フリー
    発症最初期にみられた anarthria による不規則な構音の歪みや置換の改善とともに,運動障害性構音障害や他の失語症状を伴わない純粋な foreign accent syndrome (FAS) を呈し,その後症状がほぼ消失した症例を報告した。症例は 47 歳,矯正右利きで,中枢性右顔面麻痺を伴う右片麻痺と呂律困難で発症した。頭部 MRI では中心前回中・下部を含む左前頭葉に梗塞を認めた。発症 5 日時点で見られた発話における音の不規則な歪み,置換や語頭音の繰り返しは発症 2 週後までに軽減,消失し,その一方で,自発話や単語,短文の音読,復唱時に prosody 障害が目立つようになった。すなわち,単語内のアクセントの移動や 1 単語における 2 単位のアクセントなどが頻発し,発話速度の増加もみられた。これらの特徴は患者の発話の聞き手に外国人様という印象を抱かせた。この prosody 障害は発症 7 ヵ月までに軽減,消失した。本症例の prosody 障害は,anarthria に随伴する prosody の平板化と発話速度の減少を主体とするタイプとも,右半球損傷でみられる感情表現の prosody 障害を主体とするタイプとも異なっており,平板化とは逆方向の prosody 障害や,発話速度の性急さなどの特徴から FAS と考えられた。
  • 森山 梅千代, 浜 雄一郎
    2011 年 31 巻 2 号 p. 212-221
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/07/01
    ジャーナル フリー
    発症から 8 ヵ月を経過している発語失行および口腔顔面失行を伴う重度運動失語例 (46 歳男性) に,失語症訓練と構音訓練を 4 年経過時まで (実質 3 年間) 実施した。訓練内容および経過を示し,標準失語症検査 (以下 SLTA) および〈発語失行症〉話しことばの評価票,単音節 (109 音節) 検査によって言語機能および構音能力の推移を評価し検討した。その結果,初診時と4 年経過時とを比較すると,SLTA の「話す」「書く」項目と,会話明瞭度の得点が上がり,随意的に構音可能な音が増加した。意思伝達手段はゼスチャーと描画から発話と書字に改変した。SLTA の成績等の経過から,表出面の回復は 1 年を経過した頃から始まり,4 年経過時にも継続しており,回復は長期にわたることが示された。このことから,40 歳以上の重度運動失語例であっても,訓練効果は発症後短期間にのみ見られるのではなく,長期にわたることが示唆された。
  • 小島 真奈美, 藤田 郁代
    2011 年 31 巻 2 号 p. 222-230
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/07/01
    ジャーナル フリー
    アラビア数字の書取に誤りを呈した伝導失語 1 例と Broca 失語 1 例について,個々の数字部分の処理と桁の処理という観点から,誤りの特徴と誤りが生じたレベルを検討した。方法として,0 を含む数と含まない数の「数の書取テスト」と,数字と桁の処理を個別にみる「数字テスト・桁テスト」を作成し実施した。その結果,伝導失語例には数字の誤りを多く認め,Broca 失語例には数字の誤りに加えて桁の誤りを認めた。誤りが生じたレベルについては,両例の数字の誤りはアラビア数字を書く前の復唱のレベルで生じ,Broca 失語例の桁の誤りは,復唱後にアラビア数字を書字するレベルで生じた。以上から,両例の数字の誤りは,Dehaene ら (1995) のトリプルコードモデルの言語フレームにおける数字の処理の誤りであり,Broca 失語例の桁の誤りは,視覚アラビア数字形式における桁の処理の誤りと考えられた。
  • 佐藤 亜紗美, 清水 志帆, 舘川 歩美, 北村 葉子, 岩橋 麻希, 笠井 明美, 市野 千恵, 今村 徹
    2011 年 31 巻 2 号 p. 231-239
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/07/01
    ジャーナル フリー
    【目的】遂行機能とその障害を反映させた個別のセルフケアの評価法である Self-care ratingfor dementia, extended (SCR-DE) の妥当性を検討する。【対象】信頼できる情報提供者となる同居家族から協力の同意を得た在宅療養中のアルツハイマー病患者 31 名。【方法】先行研究を踏まえて, SCR-DE の摂食の評定段階 2. 3. の記述に語句を追加した。評価者は必要に応じて SCR-DE の各評定段階の記述を読み上げて対象者に提示したが, 最終的な評価は半構造化インタビューの形式で行った。SCR-DE の各下位項目 (更衣, 入浴, 整容, 摂食, 排泄, セルフケア全体) の評定と患者, 疾患, 認知機能の諸属性との関係を検討した。【結果】SCR-DE の全下位項目で CDR の全般重症度および DEX-D との間に有意な相関がみられた。下位項目のうち更衣, 整容, セルフケア全体は ADAS の観念行為との間に有意な相関がみられた。重相関分析で年齢と全般重症度の要因を除外しても, SCR-DE の合計スコアと DEX-D との間の偏相関係数は有意であった。【考察】SCR-DE が遂行機能障害の各指標と有意に相関していたことから, 遂行機能障害を反映する尺度として十分な妥当性があることが示唆された。
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