コホート分析においてしばしば用いられる統計モデルの一つにコホート・モデルと呼ばれるものがある.これは,死亡率などの特性値の経年変化に関するデータが年齢×時代の2重分割表の形で与えられている場合に,特性値に及ぼす年齢・時代・出生コホートの3つの効果を同時に推定するための線形モデルである.しかし,その特殊な線形構造のためその解は不定となることが知られている.
本論文では,時代効果が期間で与えられている場合のコホートモデルにおいて隣接するコホートの出生時期が重複するという点に注目し,重複しない出生コホートを表現する新しいコホート・モデルを提案した.このモデルの下では,その解が一意に定まることを示し,仮説例,実例に適用しその妥当性を検討した.
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