順序尺度のあるカテゴリカルデータに対して,隣あったカテゴリー間には1,2つ離れていれば2というように数値を与えてやれば,「平均差」に対応するもので散布度の尺度を与えることができる.また名目尺度のデータに対しては,異なるカテゴリー間全てに1の距離があるものと解釈すれば,同様の散布度の尺度が定義できる.
『日本人の国民性調査』のデータを例に,これらの尺度が質問に対する回答パターンの相違を端的にはじきだすのに有用であることを示す.なお順序尺度の場合には,標準偏差とほぼ同じような値をとるが,平方値をとらないので,標準偏差よりも散布パターンを的確に与える尺度であることも示される.
さらに,大相撲のデータなどの分析に対しても,これらの尺度が有用であることを示す.また,大相撲の各力士の勝相撲での決り手のパターンなどのように,カテゴリーの数が多いデータの散布度を捉えるときなどには,名目尺度のデータに対する散布度を多少修正して用いるほうがよいという事例も紹介する.
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