応用統計学
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29 巻, 2 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 佐井 至道, 竹村 彰通
    2000 年29 巻2 号 p. 63-82
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    個票データを公開するか否かを決定する際の最も重要な指標の一つが,レコードの項目の値の組み合わせが他のすべての個体と異なる一意な個体の数であり,標本調査では特に標本でも母集団でも一意である個体数が問題となる.一般に元の個票データではほとんどの個体が標本一意であり,そのまま公表することはできず,質的変数についてカテゴリーを合併したり,量的変数について丸めやトップコーディングを行ったりする秘匿措置を行う必要がある.これらは広い意味で項目の分類の併合と考えられるが,それによる一意な個体数の減少率は状況によってかなり異なる.本論文では,各分類ごとには従来用いられているボアソンガンマモデルを用いるとともに,分類間にも新たにモデルを導入することによって,分類の併合前に,併合後の一意な個体数を予測する方法について検討を行う.また提案した方法を労働力調査の個票データに対して適用し,その実用性を見る.
  • 竹内 秀一, 近河 拓也, 篠崎 信雄
    2000 年29 巻2 号 p. 83-99
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    回帰診断においては,回帰分析の結果に及ぼす個々の観測値の影響力を調べること(single-case)が基本であるが,複数個の観測値が同時に及ほす影響力を調べること(multiple-case)も重要な問題である.代表的な診断統計量であるCookの距離は,single-caseのとき,てこ比および残差の関数として表現されるので,影響の原因をてこ比および残差との関係で捉えることができる.しかし,multiple-caseのCookの距離は,てこ比や残差だけの関数として表現することはできないので,これらの関係は明確ではない.本論文では,multiple-caseで用いられるCookの距離が,残差の意味での外れ値をどの程度うまく検出するのかという観点から,その性質について調べる.特に2つの観測値のサブセットの診断を例に,その検出力の性質について検討する.さらに,multiple-caseにおけるスチューデント化残差に基づく通常の外れ値の検定統計量と比較し,それらの違いを明らかにし,Cookの距離の挙動が不安定であることを示し,その不安定性の原因についても,具体的なデータ例を基に検討する.
  • 関 庸一, 筒井 孝子, 宮野 尚哉
    2000 年29 巻2 号 p. 101-110
    発行日: 2000/11/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    2000年4月から始められた介護保険制度においては,高齢者の介護の必要度を7段階にランク分けする高齢者の要介護度認定が行われる.この際の一次判定の方式は,タイムスタディにより観測された,施設における介護時間を推定する統計モデルを基礎として作成された.このモデルには,説明変数として用いられる認定調査項目の変更に関し頑健なものが求められた.このため,心身状態に関する安定した総合指標を双対尺度法により作成し,認定調査項目にこれらが追加された.また,高齢者の心身状態は,介護時間に対し高次の交互作用を持つと考えられた.そこで,目的変数としては,総介護時間を介護分野ごとに分割集計し,これを個々に推定する樹形回帰モデルを作成し,最終的な総介護時間推定値としてこの介護分野ごとの推定値の合計値を用いる方法が採用されている.本論文では,以上の分析過程を示すとともに,その妥当性を検討する.
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